大人になれない・不安定・モラトリアムな主人公のオススメ映画 7選

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成人したから大人になるわけではない。

キャリアや人間関係において、いまいち大人になりきれず苦悩する主人公を描く作品を紹介します。

ヤング≒アダルト

あらすじ

都会で高層マンションに1人で住む37歳のメイビスは、自身が執筆しているヤングアダルト小説が打ち切りになり、その最終原稿を執筆し始めていた。そこに、高校時代の恋人だったバディから、出産報告とパーティーへの招待メールが届く。

バディに未練があったメイビスは、久々に地元に戻ることを決意。彼の妻からバディを奪うために行動し始める。

地元に戻ったメイビスは、彼女と対照的に高校時代日陰の存在だった男マットに偶然再会する。メイビスとマットは妙に気が合い、2人は度々一緒に酒を飲む。その度にマットは復縁計画をやめるようにアドバイスする。しかしメイビスはこのアドバイスを聞かず、バディをデートに誘い、田舎の町に場違いな格好で食事をする。

メイビスは着々とバディとの交流を深め、バディもメイビスをホームパーティーに招いてくれる。そこで確信を得たでメイビスは、自分と一緒になるようにバディに迫る。

おすすめポイント

メイビスの呪いは、高校時代の栄光だ。

プロムクイーンだったメイビスにとって、高校時代は人生で最も輝かしい時間。この輝く過去が、すでにアラフォーであるメイビスを子供っぽい行動に走らせる。

都会に出て作家として活躍するも、1人孤独で時が止まったかのように生活するメイビス。一方で、地元に留まった同級生たちは、結婚し、出産し、いわゆる「大人」になっていく。

キャリアウーマンとホームパパ、都会と地元のギャップを描きながら、メイビスの「取り残された感」を哀愁たっぷりに描いていく。

メイビスの切なさが風刺的に描かれているので、切ないながら悲しくて笑えるコメディになっている。そしてラストは、そんなメイビスを肯定するような流れ。やさぐれているときにぴったりの作品。

レイチェルの結婚

あらすじ

更生施設で麻薬中毒を治療中のキムは、姉レイチェルの結婚式に出席するため、数日の間、家に帰る。家族や友人は暖かくキムを迎えるが、どこかぎこちない。また、キムも自己中心的な振る舞いでレイチェルを苛立たせる。

結婚式のリハーサルから、結婚式当日の数日を通して、家族の中に沈殿していたわだかまりが噴出する。

おすすめポイント

ドラッグにハマり、不幸な事故を起こしてしまったキム。家族の中での彼女の疎外感がポイントになっている。

更生施設に入り、一旦責任ある大人になるコースから外れてしまったキム。家族もキムのことを自立した大人として扱ってくれず、そのことが余計にキムを苛立たせ、キムがちゃんとした大人として振る舞うことを難しくさせている。

キムはキムなりに苦悩し、ちゃんとした人間として振る舞おうとしている。家族もキムを思ってこそ、キムに特別な注意を払う。しかし、このお互いに対する気遣いがうまく噛み合わない。

大人になろうと努力しているけど、結局は大人になれる余裕がない。そんなジレンマを描く作品。

アバウト・ア・ボーイ

あらすじ

父から受け継いだ印税によって自由気ままに暮らすウィル。他人と深い関わりを持たず、女性と短い関係を持っては別れ、自分1人の孤島生活を楽しんでいた。

ある日、「シングルマザーは女遊びの相手に最適だ」と考えたウィルは、シングルペアレントの会に潜入し、その会を通じて冴えない中学生のマーカスと出会う。マーカスの母はメンタルに問題を抱えており、支えが必要だと考えたマーカスは母とウィルを付き合わせようと画策する。

しつこいマーカスを鬱陶しくあしらうウィルだったが、だんだんとマーカスと仲良くなり、母親以上にマーカスの問題によく気づくようになる。マーカスはウィルを信用し、ウィルもマーカスを通じて人の為に何かをしてあげる喜びに目覚める。

おすすめポイント

父の遺産を受け継ぎ、悠々自適な生活を送る男ウィル。他人と深く関わることを避けているせいで、大人になれずにいるが、本人はそのことに満足している。

他人と深い関わりを持とうとしなかったウィルが、マーカスと仲良くなることで、なし崩し的にある人間関係の輪の中に入っていく様子のコミカルさがまず面白い。

さらにその人間関係の中で、ウィルは初めて大人になりきれていない自分に苦悩し、自分のダメさに向き合うことになる。

全体的に軽いトーンで進んでいくストーリーながら、他人と関わることで人間は大人になっていくんだ、というシンプルなメッセージがちゃんとある作品。

キング・オブ・コメディ

あらすじ

親の脛をかじりながらコメディアンを目指す34歳のルパート・パプキン。彼は大ファンであるテレビスターのジェリーを付け回し、どうにか彼にサポートしてもらおうと画策するが、結局はジェリーの怒りを買ってしまう。

ジェリーに協力してもらうことを諦めたパプキンは、ジェリーのストーカーをしている悪友マーシャと一緒に、ジェリーを誘拐し、一晩だけ彼の番組を乗っ取る計画を立てる。

おすすめポイント

パプキンは精神面も金銭面も両方大人になれていない男。

「コメディアンになる」という夢に、病的に取り憑かれたパプキンの大人になれなさは、逆に清々しい。が、周囲はたまったもんじゃない、というコメディになっている。

夢を追っている人はパプキンを見てゾッとするだろうし、まともに生活している人はパプキンを見て安心できるかもしれない(「こうならなくてよかった」と)。

行くとこまで行った大人になれない大人のの一例として、とても面白い作品。妄想と現実が入り混じるストーリー的な仕掛けも見事。

ビッグ・リボウスキ

あらすじ

デュード(本名はジェフリー・リボウスキ)は、同姓同名の富豪と勘違いされ、借金取りに襲われたことで、富豪リボウスキと知り合う。

後日、リボウスキから電話がかかり、彼の妻バニーが誘拐され、その身代金受け渡し役を引き受けてくれと頼まれる。慢性的に金欠のデュードは、楽な仕事だと引き受けるが、友人ウォルターに振り回され受け渡しは失敗。さらに何者かに身代金を盗まれてしまう。

それに加えて、デュードはリボウスキの娘モードにも襲われる。彼女は身代金はリボウスキではなく財団の金だと言い、犯人に払わず財団に返すようにデュードに頼む。

気づくとデュードには常に尾行がつき、バニーが出演したポルノ映画のプロデューサーにもバニーを探し出すように要求される。

こうしてデュードは、ある誘拐事件をきっかけに、多くの利害関係者の思惑が交錯する面倒ごとの中で翻弄されていく。

おすすめポイント

夜な夜な友人たちとボーリング場に集まっては、その日暮らしの生活をするデュードとその仲間たち。

それ生活や人間関係を通して描かれるデュードの軽やかさがとても魅力的。

デュードも友人たちも、ちゃんと大人になりきれていない男たちばかりだが、それもそれで悪くない。むしろデュードを見ていると、大人になることより大事なことがあるかもしれない、とすら思わされてしまう。

映画自体は間の抜けたコメディで、ハッタリのみで出来上がっているよく分からないストーリー。本筋についていけなくても、キャラクターたちの魅力だけでも楽しめる傑作だ。

海よりもまだ深く

あらすじ

15年前に文学賞を取って以来、作品が書けないまま取材と称して探偵事務所に務める良多。お金が入るとギャンブルですってしまい、前妻:響子との息子と会うための養育費も支払いが滞っている。

息子:真悟との面会日。金のない良多は、ヘソクリをくすねようと真悟と一緒に団地に住む母を訪ねる。響子は真悟を迎えるため団地まで来て一緒に食事をとる。帰ろうとするも台風が接近し、良多と母は泊まるように説得。台風の夜4人は共に過ごすことになる。

おすすめポイント

不甲斐なさから響子に離婚された良多。そして「離婚されてもしょうがない」と観客も納得してしまう良多のダメダメぶり。

良多は、純文学者としてのプライドから、自分の生活に折り合いをつけることができない。夢のために生活を犠牲にしているタイプの人間だ。

そんな良多との生活に見切りをつけた響子。結婚しても、子供ができても、それで自動的に大人になれるわけではないことがよく分かる映画。

しかし良多の母の視点から、そんな良多でも何かの役に立っている、という温かい眼差しが差し込まれている。

不完全でも無価値じゃない。それを実感させてくれる優しい映画。

フランシス・ハ

あらすじ

ニューヨークでプロのモダンダンサーを目指して生活しているフランシス。大学時代からの親友でルームメイトのソフィと、大学生を延長しているような楽しい日々を過ごしていた。

ある日ソフィが、ずっと住みたかった地域に引っ越すと言って突然部屋を出ていく。ずっと一緒に暮らせると思っていたフランシスはショックを受けながら、1人での生活を始める。

金欠気味のフランシスは、知り合いのレヴとベンジーのアパートに部屋を借りて住み始めるが、ダンサーの仕事をクビになって、結局家賃が払えなくなってしまう。

突然いろいろなものが変わっていき、フランシスは途方にくれながら、これからの生き方を模索する。

おすすめポイント

一応は社会人として働きながらも、プロのダンサーを目指すフランシス。この中途半端な20代後半の感じがコミカルに描かれている。

フランシスは、ルームメイトのソフィと楽しく過ごし、大学生のように過ごしている。フランシスのこの「大学生から人間性が更新されていない」感が妙にリアルで面白い。

フランシス自身はそんな生活を気に入っているが、周囲の人間やキャリアは待ってくれず、あれよあれよと岐路に立たされるフランシス。

とぼけた雰囲気の映画でありながら、社会から置いていかれる感じを上手く描き、「さすがにそろそろ大人にならなくちゃ」と思わせてくれる、とてもいい映画。

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