映画

ハッピー・デス・デイ -殺された女子大生が死んだ日をループしながら犯人に迫る-

概要

性格に難のある女子大生ツリー。彼女は自分の誕生日の夜に殺されてしまう。しかし、殺された途端、終わったはずの誕生日の朝に目覚める。そこから、自分が殺される1日をループし続ける彼女の生活が始まる。

どうにか殺されないように行動するがうまくいかず、逆に犯人を突き止めようと周囲の人間を観察するも犯人はわからない。

さらにループを繰り返すたび身体にダメージを受けていることが分かり、無限にループを繰り返せるわけでないことも分かってくる。限られた時間の中で、ツリーはどう生き残るかを考える。

みんなのレビュー

高評価

  • 殺されながら犯人捜しをするという被害者=探偵のミステリー設定が面白い
  • ループしながら、主人公の好感度が上がっていくストーリーが心地いい
  • 設定やストーリーがシンプルで見易く、気軽に楽しめる

低評価

  • 犯人が怖くない
  • 主人公の行動とその結果がどれも中途半端に終わっている感があって、謎ときとしては肩透かしを食う
  • ループの設定が全体的におざなり

ナニミルレビュー

良い点!

ホラー映画と言っても、グロいシーンはなく、またありがちなお色気シーンもない。全体的に画面が明るくコミカルな演出も多いので、いろんなシチュエーションで観やすい映画だ。

殺人鬼に追われるストーリーをループにするというアイデアの面白さはもちろん大きいのだが、アイデア一発の出オチになっていないのがいい。

個々の要素(ミステリー、ドラマ、ホラー)自体は、それぞれそんなに突出した何かがあるわけではないけれど、それらをここまでうまく組み合わせて、かつ100分ほどのサクッとみられる長さに収めているのがすごい。

個人的には、ループ設定を利用してツリーの成長を描くドラマ部分がとても好きだ。

最初、ツリーの性格が悪いのは、彼女が繰り返し殺されても観客がドン引きしないための設定だと思ったのだけど(それもある程度はあると思うけど)、このドラマ部分を描くためだったのか、と感じた。

(また、性悪女であることで容疑者が絞れないというギャグになっているのも笑える。と同時に、それがミステリー展開をより盛り上げ、登場人物全員が犯人に見えるようにしているのもすごい)

「性悪女が良い子になる」というと、いかにもお行儀のよさそうな成長を想像するが、この映画ではそうではない。

お高くまとまった美女が、男の目の前でおならをするようになる。とても行儀の悪い方向で成長を描いているのが印象的。

つまり、悪女が聖女になるのではなく、虚栄に満ちた人が本心に従って自分らしく生きるという、いわゆる等身大な成長が描かれている。

ループを繰り返し、ツリーはやさぐれていく。やさぐれたからこそ、本当に重要でないものに関心を失っていき、結果、素直な本心だけが残る。

また、ツリーはループを利用して犯人捜しをする。その過程で自分の周囲の人間たちを観察し、結果的に彼/彼女らへの理解を深める。殴り合いのけんかをしたり、秘密を知ったりする。

ループによって巻き起こる出来事からツリーは行動し、学び、それが彼女の成長に強い説得力と納得感を持たせている。ループによる成長を描くならこれ以上ないくらい的確な描き方だと感じた。

ループ自体は特殊な状況だが、観客にとってもほとんどの日々は似たような日だ。ツリーを励ます「新しい今日が来るたびに成長すればいい」というカーターの言葉は、観客にも響きうる言葉だし、そう考えればツリーの苦悩と成長はより共感しやすいものだと気づく。

そして成長したツリーが周囲の人間に優しく接するシーンの連続は、「人に優しくすること」のポジティブさをとても気持ちよく描いていて、カタルシスのあるシーンになっている。

ここはツリーがループ脱出の希望を見出したタイミングと重ねられているので、やっとループを解決できるという高揚感と、他人に優しくする爽快感が重ねられている。

ストーリー的な感情の高ぶりを、他人に良くする気持ちよさと共鳴させる演出がとてもいい。

この映画で描かれるのはすごく深い人間ドラマというわけではないが、このコミカルなホラー映画の中では必要十二分な内容。観ていてとても満足感があった。

イケてない男子が高嶺の花と恋に落ちるロマンスも、本当に少ない分量の中で的確にメインストーリーに差し込まれている。この男子はミステリー部分をより面白くする役回りも果たしているから、とってつけた無駄なサブストーリーには感じない。

ミステリー部分にしても、もちろん「犯人は誰だ」という疑問を観客が楽しめるように進行していくし、最後にはアッと驚く展開も用意され、ちゃんと最後の最後まで楽しめるストーリーになっている。

とにかく、B級ジャンルホラーだと思って観たら、さまざまなジャンルをちょうどいい塩梅で組み合わせて完成度の高いエンタメ作品になっていて驚く映画だ。

イマイチな点・・・

全然怖くはないので、ホラーを期待すると残念な結果になる。

またミステリー部分に関しても、なぞ解きを進める楽しさはあまりなく、たしかに消去法で犯人が減っていくのは分かるのだが、手掛かりを集めることで犯人に迫っていく知的な楽しさはあまりない。

しかし、このあたりは、これがヘビーな恐怖感や、知的な楽しさを目指した映画でないことを考えればそんなに大きな問題ではないと思う。

個人的に一番気になったのがループの設定。

「死ぬとループし、生き残ればループから出られそう」というシンプルな設定は良いのだが、「実はループのたびに身体にダメージを受けている」という設定がいまいちストーリーになじんでいない感があった。

たしかに、ループに限度があるという設定によって、それなりに緊張感は生まれるのだが、具体的にあと何回なのかとか、ツリーが弱っていく感じがしない(なぜ昏倒した回の次のループでは元気に動き回れているのか)とか、あまりストーリーと設定がマッチしていないと感じた。

なにより、ループに限度があるのだとすれば、ほっといてもツリーはいつかループから脱出できるのであり「死ぬこともできない」という最悪の恐怖はなくなってしまう。

また、ツリーが殺人鬼をやっつけるシーンがあるが、さすがにそのやり方だと、命は助かっても普通に逮捕されるだろ、と思った。

こういう突飛なホラー映画とはいえ、ツリーは普通の大学生なわけだから、もうちょっと普通の大学生が取りそうな手段にしてほしかった。

このラストシーンでの電気を使った仕掛けもかなり無理があり、いろいろツッコミたくなってしまう。

B級ホラーならこれくらいのツッコミどころは全然大丈夫だけど、この映画はほかの部分がしっかりしているだけに、ここだけ急にねじが外れた違和感がものすごい。

いや、もしかしたら観客が見たあの場面はツリーが何度もループを繰り返した結果、唯一殺人鬼を倒せるルートで、ツリーの行為ひとつひとつは全て計算済みだったのかもしれない、などと考えて脳内補完することはできるけど。

まとめ

主人公が殺されるホラーストーリーにループ設定をぶちこむ力業なアイデアの面白さ。その設定を的確に活かしながら、主人公の成長を描くドラマも、ミステリーと共に描かれるロマンスもしっかり展開していくてんこもりな良作。

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