概要
万里の長城を舞台に、60年に1度現れる人類の敵との戦いを描くストーリー。主人公のウィリアムは、利己的な男だったが、忠義を尽くして戦う長城の戦士たちを見て、次第に心を入れ替えていく。
レビューの印象
高評価
- スケールが大きく、アクション、衣装、小道具などにも見応えがある。
- 万里の長城にSF設定を加えたストーリーと、武器などの設定がが面白い
- 主人公が改心しながら仲間と協力する王道ストーリー
低評価
- 見終わって心に残るものがない
- キャラクターの掘り下げが浅く、ドラマが陳腐
- ストーリーが支離滅裂
ナニミルレビュー
オススメ度:C
こんな気分の時オススメ:歴史物とSFが混ざった不思議なスペクタクル映画が観たい時。
万里の長城を攻めるモンスター
歴史物かと思わせるオープニングから始まるこの映画。
しかし、主人公ウィリアムらが暗闇から突然現れる不思議な影に襲われるあたりで、SFか? ファンタジーか? という期待感が高まる。
相手の姿が見えない中、ウィリアムはかろうじて剣を振り、敵の腕を切り落とす。そこにあったのは、この世の生き物とは思えない異形の腕だった。
それからウィリアムらは万里の長城にたどり着く。そして、この地では60年毎に宇宙から来たモンスター軍団に襲撃される歴史が繰り返されていることを知る。
彼が切り落としたのは、そのモンスターの腕だった。
というわけで、始めは招かれざる客として捕らえられたウィリアムが、この防衛戦に巻き込まれていく、というのがこの映画のメインストーリー。
遥かに高い万里の長城と、60年の準備を経てモンスターを待ち受ける禁軍。
緊張感の中、最初の投石。一体どんなモンスターかと思っていると、ありえないほど大量のモンスターたちが渓谷を突進してくる。
ゾンビ映画『ワールド・ウォーZ』のゾンビ襲撃シーンを思わせる映像で、あれだけ高く見えた壁も、モンスターの数に圧倒されるほどの敵の数。
このモンスターに立ち向かうための装備や闘い方もこの映画の楽しさの1つ。
投石や弓矢に加えて、ロープを体に巻き、壁から飛び降りて闘う女兵士たちの闘いは、他では見たことがないアクションだった。バンジージャンプしながら槍で戦っていると言うと近い。
また、壁の途中に巨大なハサミが用意されていたり、刺さった敵の動きを察知するための笛が付いた矢が使われたり、この世界観の中で考え出された武器のアイデアも面白く見られる。
その中で囚われの身だったウィリアムは、最初の襲撃の際に兵士を救い、闘いの腕を買われ、兵士の1人として軍の信頼を獲得していく。
悪人が忠誠心を獲得するドラマ
メインストーリーの防衛戦争に加え、ならず者の傭兵であったウィリアムが、禁軍の絆に感化され、献身的に活躍するドラマもこの映画の見ドコロ。
そこで大きな役割を果たすのが女隊長リンの存在である。
金や名誉のために闘ってきたと話すウィリアムに対して、「禁軍の兵士はシンレン(信頼)のために闘っている」と話すリン。
ウィリアムは、一緒に捕まった仲間トバール、以前から捕まっていたバラードの3人で、襲撃で軍が手一杯になる隙に、城から脱走する計画を練っていた。
しかし、リンらの姿を見ていたウィリアムは、脱走のチャンスを捨てて、禁軍と共に戦う。
トバールらの脱走のせいで投獄されてしまうウィリアム。だがリンはウィリアムを許し争いから逃れるように自由の身にしてやる。しかし、リンを助けるため闘いに駆けつけるウィリアム。
お互いがお互いのために闘う「シンレン」を体現するクライマックスの熱い展開。
そして、大群を相手に1つの戦術にかけて闘う最終決戦もスリリング。
この大舞台に対して約100分ほどで、あまり深みがあるストーリーやキャラクターとは言えない。けれど、襲ってくる大量のモンスター、それに立ち向かう中世の軍隊の闘いを楽しみながら見ることができるスペクタクル映画。
レコメンド作品
ワールド・ウォーZ
大量のモンスターが襲ってくる籠城戦といえば、やっぱりこの映画。