映画

ザ・ウォーク -夢を賭けたドラマとクライム、そして手に汗握るスペクタクル-

概要

フランス人のフィリップは、幼い頃にサーカスで綱渡りを見て以来、綱渡りに取り憑かれてしまい、親に反対されても大道芸人の人生を選択する。

やがて家を追い出され、パリで大道芸人として生活するようになる。

歯医者の待合室でたまたま開いた雑誌に、ニューヨークにワールド・トレード・センターが建てられることを伝える記事を発見する。

彼は、この2つのビルの間を綱渡りする夢を抱き、その実現に向けて動き出す。

みんなのレビューまとめ

高評価

  • 綱渡りシーンのスペクタクルはもちろん、その準備段階のドラマ、サスペンスもしっかり面白い
  • 夢を追い求める男の姿にグッとくる

低評価

  • 主人公の言動がわざとらしく、ドラマ部分に感情移入しにくい
  • 綱渡りシーンが期待したほどじゃない
  • 人間関係にリアリティがなく、そこを描いた中盤にモタついた印象を受ける

ナニミルレビュー

オススメ度:B

こんな気分の時オススメ:何かに熱中する人物を描いたストーリーを観たい時。適度にドラマがあるスリリングな映画が観たい時。

綱渡りに取り憑かれた男の挑戦

フランス人のフィリップは、幼い頃にサーカスで綱渡りを見て以来、綱渡りに取り憑かれてしまい、親に反対されても大道芸人の人生を選択する。

やがて家を追い出され、パリで大道芸人として生活するようになる。

歯医者の待合室でたまたま開いた雑誌に、ニューヨークにワールド・トレード・センターが建てられることを伝える記事を発見する。

彼は、この2つのビルの間を綱渡りする夢を抱き、その実現に向けて動き出す。

 

パリで出会った恋人のアニー、彼女と同じ大学の学生で写真家を志しているジャン=ルイを仲間に引き入れ、彼が呼ぶところの「共犯者」を増やしていく。

また、子どもの頃に観たサーカスの団長であるパパ・ルディに弟子入りし、ロープの貼り方も含めて、綱渡りに必要な知識と技術をみっちりと叩き込まれていく。

こうして、彼は着々と夢に近づいていく。

 

フィリップと初めて出会った時、ジャン=ルイは「芸術家はみんなアナーキストだ」と言い、フィリップもそれに同意する。

ビルの間を綱渡りする計画は、この「アナーキスト」な方法で行われる。

完成間近のビルに忍び込み、調査を重ね、準備をし、結構の前夜にロープを張り、朝方ロープを渡る、というのがフィリップの考えだ。

だれかのバックアップを受けることもなく、この偉業を成し遂げることをフィリップは決意する。フィリップの熱い想いに共感した仲間たちだけで計画し、準備し、実行する。

フィリップの無鉄砲な熱意についていけなくなる仲間もいたり、あまりに拙速な計画に尻込みする仲間もいたり、計画も準備もスムーズに進むわけではない。

そんなチームのドラマもありながら、手に汗握るフィリップの綱渡りのスペクタクル映像が、この映画のクライマックスになっている。

夢を手に入れるためのクライム・ストーリー

この映画は、犯罪計画を描いているからクライムストーリーと言える。

もちろん、人を殺したり、強盗したり、マフィアが出てきたりはしない。そこが面白い。

犯罪映画なんだけど、1人の男の夢のための犯罪であるところが特徴的だ。

フランスではフィリップのそれまでの人生や、綱渡りの訓練が描かれている。アメリカへ渡ったあとは何が描かれているだろうか。

仲間集めや道具集めをしたり、ワールド・トレード・センターに潜入して情報を集めたり、ビル内部で働く人を協力者としてリクルートしたり、綱渡りの道具をビルの屋上まで運んだり、警備員に見つからないようにロープを張ったり。

フィリップらの行動は、まさにワクワク感がたっぷりな、クライム映画やスパイ映画の要素が詰まったものになっている。

フランス部分ではヒューマンドラマとして展開し、アメリカへ渡ってからはクライムサスペンスとして展開する。

そして、最後は壮大な、しかし静かなスペクタクル映像、という飽きない構成になっている。

綱渡りシーンは凄い

あまりにも当たり前な感想だが、最後の綱渡りシーンは、本当に凄いシーンになっている。

これは、劇場で見られたらもっと良かっただろうと思いつつ、ぼくは十分ハラハラできた。「手に汗握る」の言葉通り、本当に手汗が止まらなかった。

 

フィリップは、万全な状態でこの綱渡りに挑むわけじゃない。

綱渡りは朝。その夜はワイヤーを張るため、フィリップは寝ずに作業している。そして、その前日も道具の準備のため、まともに寝ている様子はない。

そして、3週間前に釘を踏んで怪我した足も治っていない。

ワイヤーを張り終わるのも予定より大幅に遅れ、フィリップは精神的にも焦った状態で、ワイヤーに足をかけることになる。

 

結末は分かっているのだが、それでも「いや、大丈夫なの?」と思わずにはいられないような状態。

しかし、「ワイヤーに体重をかけた瞬間、身体に染み込んだあの感覚が甦った」というフィリップのナレーションが流れた瞬間に、「大丈夫だ」という気持ちになり、同時に、すごく清々しい気持ちを感じさせる映像に引き込まれる。

そして、ここから20分も綱渡りのシーンが続く。

ただ綱の上を歩くだけで20分、これが飽きずに見られるのが凄い。

本当にハラハラしながら、同時にフィリップの充実感を感じながら見られるクライマックスになっている。

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