映画

ノー・エスケープ 自由への国境 -近距離・長距離から迫る敵の攻撃-

概要

メキシコからアメリカへと向かう密入国者を乗せたトラックが荒野のど真ん中で故障してしまう。密入国者一団は、仕方なく徒歩で国境を渡ることとに。

しかし、国境を超え、しばらく歩いたところで、主人公モイセスを含む5人は、だんだんと集団から遅れてしまい、置いていかれそうになる。

5人が疲れて腰を下ろし、前を行く集団を見ながら途方にくれていると、集団の後ろに迫るトラックが目に入る。5人が岩陰に隠れて様子を見ていると、トラックのドライバーであるサムが猟銃を持って降りてきて、前を行く集団を一人残らず撃ち殺してしまう。

5人は急いで別の道へ逃げるが、サムの愛犬トラッカーに気づかれ、サムは5人を追いかけてくる。

猟犬とサムは5人の生存者を追いかけながら次々と殺していく。モイセスは生き残った移民たちとどうにかサムからの逃亡を図り、街へ向かう。

みんなのレビューまとめ

高評価

  • 極限状況で疲弊しながら命からがら逃げるというシチュエーションが面白い
  • マンハント物に、政治問題を取り入れている
  • テキパキと進む展開で最後まで引き込まれる

低評価

  • 逃げる側も追う側も、あまり頭が良くなく、ツッコミどころが多くてストーリーに乗り切れない
  • サイコパスの描き方が微妙で悪役に魅力がない
  • 絵的な展開が希薄で、同じことを繰り返しているように見える

ナニミルレビュー

オススメ度:B

こんな気分の時オススメ:残酷なシチュエーションに主人公が追い込まれるストーリーが観たい。マンハントが観たい。広大な空間を使った追いかけっこが観たい。

乾いた荒野での追いかけっこ

この映画、ほとんどストーリーはなく、キャラクターがしっかり描写されているわけでもない。

断片的な会話や行為の中に、キャラクターを特徴づける情報が含まれているとはいえ、ドラマ部分に深みがあるとは、あまり感じない。

この映画のメインは、とにかく、国境地帯の乾いた荒野で繰り広げられる、1人の白人と不法移民たちの追いかけっこである。

 

追跡者サムはスコープの付いた銃を持っていて、立ったまま銃を構えて、遠くを走って逃げる移民に弾をバンバン命中させるほどの腕前である。そして、サムの愛犬トラッカーは、トラッカー一匹で人の首を噛んで殺せるほど凶暴である。

トラッカーは人間より足が速く、逃げても逃げてもどんどん迫ってくる。そしてサムは遠く離れたところから正確な狙撃で打ってくる。

この近距離+長距離の攻撃が常に迫ってくる緊張感の中、攻撃を避けながら逃げるモイセスたち。

犬は速いが、崖を登ったり、離れた岩にジャンプしたりすることができないし、サムも狙撃するためには、間に障害物がない場所でなければいけない。

この追っ手の特性と、荒野・山岳地帯という地理を利用した逃走アクションが展開されていく。

やや人間味のある追跡者サム

これは恐らく観る人によって評価が分かれる部分だと思うが、追っ手のサムは、不法移民を問答無用で撃ち殺すようなとんでもない人間であると同時に、人間的感情を持った人物としても描かれている。

特に、愛犬トラッカーに対しての感情は、サムを単純な悪役に見せない演出になっている。

この部分を「深み」と感じるか「ノイズ」と感じるかは人によるだろう。

 

「犬に好かれ、犬に優しい人間に悪い人はいない」的なよくある基準からいうと、サムはいい人であるが、どう考えても彼は完全に異常な殺人鬼である。

この矛盾によって、ある面で善良な人でも、凝り固まった思想によっていくらでも残酷になり得る、という危うさを表現しているとも言える。

同時に、この90分弱のスリラー映画の中では、彼をもっと単純に恐怖の対象として描いた方が、より効果的だったのではないかと思わないでもない。

良くも悪くも、クライマックスに近づくほど「人間対人間」の泥臭い争いに展開していく。

 

「移民」という現代的でセンシティブな題材を描いている。

単純にスリラー演出全開の映画にせず、人間対人間の戦いにしたのは、作り手の良心なのかもしれない。

映画は映画、現実は現実なので、完全にエンターテイメントに振り切ったとしても、非難されるべきだとは思わないが、しかし、この映画に関して作り手はこういうバランスにしたのだな、という感想。

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