映画

LEGO ムービー -子供も大人も楽しめる! ギャグ満載で多様性の大事さを説く-

概要

マニュアル通りに生きることに何の疑問もない主人公エメット。ある出来事を機に、世界を救う救世主と勘違いされ、世界の支配を企む大王を倒す旅に出ることになる。個性豊かなキャラクターたちと交流するうちに、エメットは自分の能力はなんなのかを認識していく。

みんなのレビューまとめ

高評価

  • レゴでできた世界が楽しく、さらにそれが現実的な問題へ接続しているストーリーが見事
  • ギャグもストーリーも、子供も大人も楽しめる内容
  • 「普通」な主人公を肯定するストーリーに勇気をもらえる

低評価

  • 終始ふざけた調子のハイテンション・ハイテンポな展開が苦手
  • 子供が見るにはストーリーがやや難しい
  • 終盤のある展開に乗れない

ナニミルレビュー

オススメ度:A

こんな気分の時オススメ:ハイテンションで楽しい映画が観たい時。特別じゃない人間を描いた作品が観たい時。あっと驚くアニメーション作品が観たい時。

レゴネタの量とクオリティ

「レゴ」を使ったアニメーション映画というと、「キッズ向けかな」とか、「レゴのカワイイ世界観を見せる映画かな」と思うかもしれない。もちろん、そういう側面はある。

しかし、この映画はそれ以上のものである。というか、そんなナメた期待値で観たらぶっ飛ぶこと間違いなし。

この映画のストーリーは「レゴ」を使った映画であることの必然性を最大限に引き出している。そういう意味で、まったく「出オチ」感がなく、最後の最後まで、「なるほど!」と唸らせる筋書きになっている。

そしてこの必然性が、具体的な側面ともっと抽象的で普遍的な側面まで、レゴが持っている幅広い特徴から引き出されているのが、本当に素晴らしい。

 

具体的な側面というのは、つまり、レゴの形(キャラクターの体や顔も含めて)、凸凹を組み合わせるレゴの仕組みの側面。

レゴの形がそのままギャグになっていたり、レゴを組み合わせていく仕組みがそのままアクションシーンになっていたり、「レゴ」の世界観でのみ説得力を持ついろいろなアイデアを見ることができる。

特に、ひっきりなしに繰り出されるレゴギャグが最高だ。

特徴的なところだと、主人公エメットの顔が平凡すぎて顔認証システムで追跡できなかったり、二股になっている手の形をいかしたギャグもあったりする。

緊張感のあるシーンで、レゴの仕組みのせいで間の抜けたギャグになっているシーンが個人的にたまらなく好きだ。

例えば、敵に追われているシーン。マニュアル人間だが救世主とされたエメットに「救世主だから何か作れるはず!直感で武器を作って!」とお願いすると、板を2枚くっつけただけのショボいパーツを作って敵に投げるシーンがある。当然、武器は敵に当たる前に落ち、サムイ空気が流れる。

この、誰が見ても「ショボい」と分かる悲しい感じが面白い。見た全員が「いや、さすがにもうちょいやりようがあるだろ!」とツッコむこと間違いなし。仕組みが簡単なレゴの世界観だからこそ、馬鹿らしさがよく伝わる。

また、救世主のメンター的存在のウィトルウィウスが殺されるシーンがある。そこで、彼は首をはねられてしまうのだけど、レゴのキャラクターは頭が抜き差しできる作りになっているので、残酷なシーンがものすごく間抜けに見える。

レゴの形や仕組みを使って、緊張と緩和の可笑しさがあちこちに溢れている。それでちょっとブラックな笑いが多いのも堪らない。

 

この映画、よくよく見ているとご都合主義的な流れもところどころにあるのだけど、そこが全てギャグになっているので全然気にならない。というか、ギャグにするためにわざと無理な展開にしてあるのか、とさえ思ってしまう。

このお陰で、かなりのハイテンポで進んでいくわりに、無理な展開による違和感がなく、かつ笑える。本当にストーリーがよくできている。

 

レゴの本分

そして、レゴのもっと抽象的な側面もこの映画で取り込まれている。

それは、この映画のテーマとなっている「自由」「多様性」「自分を信じること」というメッセージを伝えるために上手く使われている。

 

レゴは、遊ぶ人が自由にパーツを組み合わせて物を作るオモチャだ。そこにはマニュアルのない自由があり、同じパーツであるにも関わらず多様性があり、そして、自分で考えて何かを作り出そうとするモチベーションが含まれている。

この映画では、それと対をなす者として、「ボンド(接着剤)」が敵の兵器として使われている。完璧な状態を作って、ボンドで固めようというのが敵の狙いなのだ。

つまり、自由を奪い、多様性を奪い、新しく作り変える可能性やモチベーションを奪っていく。

 

「レゴ」というオモチャに、ここまでメッセージ性を持たせる世界観とストーリーは本当に凄い。

しかも、このメッセージと、前述したレゴギャグが、本当に絶妙に絡み合っているから面白い。

画一的であるからこそ生じる笑いと、画一性の中から生まれてくる自由の可能性。そしてそれがあってこその多様性の尊さ。

ストーリー、ギャグ、メッセージ。すべてが「レゴ」という材料から過不足なく絶妙なバランスで立ち上がってくる映画。「レゴ」を使うという出オチになりかねない設定で、ここまで腑に落ちる映画になっているクオリティの高さ。本当に素晴らしい。

 

価値観の逆転

そして、このレゴの世界観における主人公は、マニュアル人間で冴えない凡人のエメット。

このエメットのストーリーとしても、やっぱり素晴らしいできだと思う。

 

マニュアル人間で、画一性に依存して、それで上手くやってると思っていたエメット。しかし、敵に捕まり、実は誰も自分のことを何とも思っていなかったと知り、疎外感に苛まれる。

そして、救世主と言われていたのに、凡人過ぎて誰にも相手にされなくなってしまう。

しかし、クライマックスになるに従って、この凡人さ、マニュアル、目立たなさなどが敵を倒す計画のキーになってくる。

そこで、特別が良くて平凡がダメだ、という価値観が転倒する。

皆が自分の個性をうるさく言わず、マニュアルに従って協調するからこそ作れるものがある。目立たないからこそできることがある。

こうして、エメットのキャラクターによって、敵アジトへ潜入することに成功する。

 

そして、この映画は最終的には、すべての価値観を包含するエンディングを迎える。

マニュアルも良いし、個性も良いし、完璧を目指すのも良い。それら全ての中にクリエイティビティがある。その上で大事なことはオープンでいること、クリエイティビティを停止させないこと、というメッセージになっている。

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