映画

シェフ 三ツ星フードトラック始めました -一流から転落し、初心を取り戻した父と子のグルメロードムービー-

概要

一流レストランで働く料理人のキャスパーは、オーナーに命令されて作ったつまらない料理を出したことで、有名な批評家からボロカスにけなされてしまう。その上、慣れないSNSを使って批評家に反論してしまったせいで大炎上。オーナーともケンカになり、仕事を辞め、路頭に迷ってしまう。

悩んだ末、前妻の勧めでフードトラックを始めるキャスパー。レストランの同僚で仕事を辞めて手伝ってくれるマーティンと、イマイチ上手くコミュニケーションが取れていなかった前妻との息子パーシーの3人で、マイアミ、ニューオリンズ、ロスを巡って、フードトラックで料理を売り出す旅に出る。

みんなのレビューまとめ

高評価

  • 好きなものを批判されたら怒る、好きなことができたら幸せ、という主人公のシンプルなキャラクターが魅力的
  • 悪い人間がおらず、転落がありながらも明るく立ち上がるストーリーで、ポジティブさが気持ちいい
  • 好きなことをやりながら、子供と親友と旅をするストーリーが楽しい

低評価

  • 主人公が成長せず、予定調和で上手くいっている感がある
  • 全体的に人間関係が単純でリアリティがなく、ドラマとして弱い
  • 展開が単調(最初が最悪であとは登り調子)でストーリーとして退屈

ナニミルレビュー

オススメ度:B

こんな気分の時オススメ:ポジティブな気分になりたい時。人生のどん底から再スタートする主人公を観たい時。アメリカ文化の多様さを観たい時。美味しそうな映像を見たい時。

良い点!

才能があるのに環境のせいで力を発揮できず、プライドのせいでその環境から抜け出せなかった主人公キャスパー。人生のどん底で価値観を転換し、人に料理を振る舞う根本的な楽しさを取り戻す。試練でありながらも明るく楽しいストーリー。

キャリアを見直してくストーリーとともに、それまでイマイチちゃんとコミュニケーションが取れていなかった息子と向き合っていく父親と息子のストーリーも進行していく。フードトラックの旅を通して、息子が料理人として成長していく姿も面白い。

全体的にポジティブな雰囲気で溢れており、人生のどん底を描きつつも、暗い気分になるような映画ではない。

また、料理シーンは、まさしく「フードポルノ」という言葉がぴったりなほど、みずみずしく、美味しそうに描かれている。

イマイチな点・・・

試練を乗り越えるストーリーとして見た場合、あまりにもキャスパーが甘やかされすぎではないか、という印象がある。

失業しているとはいえ、そもそも一流の技術を持ったプロであること。フードトラックは前妻の提案に乗っかっただけで、トラック自体も運よく譲り受けること。仕事を辞めてまで手伝ってくれる同僚のマーティンや、機転を利かせてSNSで宣伝してくれるパーシー。

あまりキャスパーの努力が見えず、周りの提案に乗り、いろいろ手伝ってもらううちに、得意の料理の腕を活かして、まあ上手くいきました、という安易な成功譚に見えてしまう。

そこを、「明るく軽快でポジティブに描いている」と感じるか、ストーリーの「ぬるさ」と感じるかで評価が分かれそう。

とにかく美味しそうな料理

ストーリーうんぬんの前に、まず、料理の映像がとんでもなく美味しそうで素晴らしい。

まさにフードポルノ。実際、主人公キャスパーがソムリエのモリーにパスタを振る舞い、それを食べたモリーがえもいわれぬ美味に息を漏らすシーンがあるぐらい、料理をセクシーに描いている。

厨房で作られる手の込んだ料理だけでなく、キャスパーが息子パーシーのために作るチーズサンドイッチを作るシーンすら、油の弾ける様子とチーズのとろける描写、噛んだ時のサクサクの音で絶品に見せている(そんな料理に対してパーシーが「耳を切ってよ」と文句を言うギャグも面白い)

映画のストーリーとして、フードトラックで旅をしながら、現地の料理、現地の食材を味わい、仕入れ、自分たちでメニューを考えて売る、と言う展開になっている。

そこでは、旅先で、そこでしか食べることができない料理を味わうという最高の贅沢が描かれている。

とにかく、食べ物が美味しそうな映画。それを見ることができるだけでも、一定の満足感が得られる映画だ。

ブチ切れるキャスパー

キャスパーのキャリアをどん底に突き落とすキャラクターとして、フードブロガーの料理批評家が出てくる。

そして、怒ったキャスパーが、食事中の批評家の前に現れ、大迫力でブチ切れるシーンがある。

ここは、監督兼主人公役のジョン・ファヴローの切実な思いがこもった、この映画で1番見応えのあるシーンになっている。

キャスパーの言うことは正論でありつつ、「それは作り手が言ったらダメなやつだ」と感じる危なっかしさや大人気なさもあり、それも込みで、とても見応えがある。

フードトラックロードムービー

この映画の前半は、キャスパーと批評家やレストランオーナーとの対決を描くヒューマンドラマであり、この映画の後半は、フードトラックで旅をする男3人のロードムービーになっている。

 

この旅を通して、キャスパーとパーシーの父子は、初めて心を通わせる。

旅以前も、キャスパーは必ずしも悪い父親ではない。2週間ごとにパーシーと会い、パーシーを楽しませるためいろいろな所に連れて行っていた。

しかし、パーシーはこういった「おもてなし」的なキャスパーの振る舞いに満足しておらず、むしろツイッターの使い方を教えたりするような、素朴でリアルなコミュニケーションの方を喜んでいた。

パーシーは何度もキャスパーが働いているのを手伝いたいと言うが、厨房は男臭くて野蛮な所だといってキャスパーはパーシーを遠ざける。ここに、父子の距離ができていた。

 

それが、フードトラックを始めたことで、初めて一緒に厨房に入る。

初めは車の清掃から始まる。キャスパーは普段と打って変わって、厨房の中ではパーシーをこき使う。それにうんざりしたパーシーは途中で怒って拗ねてしまい、キャスパーは謝る。

ここで2人は、お互いに素直な感情をぶつけ合い、和解して絆を深めていく。

旅を通して、キャスパーはパーシーに料理の作り方、食材の選び方など、自分が持つ職能を初めて真剣に息子に伝え、自分が料理に感じる価値もしっかりと話して聞かせる。

パーシーもそれを学んでいき、旅が終わる頃には、2人は親子としてガッチリとした信頼関係を築いていく。

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