映画

ポゼッション -少女の中に入り込んだ悪魔と彼女を助けるために奔走する父-

概要

離婚したばかりのクライドとステファニー。その娘エミリーとハンナは、ステファニーの家に残りつつ、週末は父クライドが新しく引っ越した家で過ごしていた。

初めて父の家で過ごした週末、クライドの家に食器を買おうと立ち寄ったガレージセールで、妹エミリーがある古い箱を気に入り家に持ち帰る。しかしその箱は呪われた箱だった。

エミリーは箱を開けてしまい、徐々に不審な行動が目立つようになる。クライドはすぐに異変に気付くが、ステファニーやハンナは気付かず、クライドはエミリーに暴力を振るったと言う濡れ衣を着せられてしまう。

クライドはそれでもエミリーを救うため、箱について調べ、ある牧師の元を訪ねる。同時にステファニーもエミリーの奇行を目の当たりにし、家族は病院でエミリーの悪魔祓いを試みる。

みんなのレビュー

高評価

  • 王道のストーリーで、グロテスクさもそこまでなく、気軽に楽しめる悪魔祓いもの
  • スリラーやホラー一辺倒でなく、家族のドラマを同時に語っている。特に父の献身が感動的
  • ユダヤの悪魔という設定が珍しく、取り憑かれた少女の様子も迫力がある

低評価

  • 恐怖感はそこまでない
  • クライマックスが物足りない
  • 悪くはないが、オーソドックス過ぎて新鮮味がない

ナニミルレビュー

オススメ度:C

こんな気分の時オススメ:とりあえずパニック描写や、呪い系の猟奇描写が観たいけど痛い描写が嫌な時。深いストーリーを求めず、不気味な雰囲気を味わいたい時。

良い点!

オーソドックスな悪魔祓い物として、締まった作品になっている。

蛾を使った気味の悪さの演出や、音響による恐怖感、取り憑かれたエミリーの豹変ぶりなど、着実にホラーな雰囲気を積み上げていき、ラストの悪魔の姿でピークに持っていく展開はまずまず面白い。

そして、父が娘を救うストーリーとして、しっかりクライドは良い父親として描けていると思う。序盤でしっかりエミリーとクライドの絆を描いていればこそ、ラストでのクライドの命をかけたエミリー救出に説得力が出ている。

また、気味の悪い描写は当然多いものの、スプラッター的な、すごくグロテスクな場面だったり、痛い描写はほぼないので、そう言う描写が苦手な人にも見やすいだろう。

イマイチな点・・・

全体的に及第点という感じで、悪くはないが、突き抜けたものもない印象。

暴力的な描写は抑えられており、スプラッターを見るという楽しさはそれほど味わえない。また、蛾を使った演出は良いのだが、身の毛がよだつほどの気色悪さとまでは描いていない。

ラストの悪魔祓いシーンにしても、迫力はあるものの、意外とすぐ終わってしまう感じ。

ポスターのイメージにもなっている口から手が出てくるシーンは良いのだが、引きの絵で見せていたり、画面を点滅させていたりで、まじまじと見せるというよりは、驚かせる演出になっており、悪くないけど、やはりグロテスクさとしては押しが弱い、という感想を持つ。

そして、本格的にエミリーが暴れ出すまでの引っ張りが長いのも気になった。最初にフォークでクライドを刺すシーンから、本格的に暴れ出すまで30分ほどあり、かなり待たされた感があった。

クライドが濡れ衣を着せられる心理的な苦痛も描いているが、それもそこまで厳しく絶望的に描く訳でもない。

様々な苦境を満遍なく配しているが、どれも掘り下げは浅い。退屈はしないけど、何かがすごく印象に残る、という感じはない。ドラマとスリラーのバランスをとった結果、どっちつかずになってしまったように感じる。

B級悪魔映画

悪魔祓い物なので、悪魔がどう描かれるか、というのがやはり見所になると思う。

これは人の感性によるので、誰もがそう思う訳ではないと思うが、個人的には全体的にB級感漂う雰囲気を感じた。

サム・ライミの名前を全面に出して宣伝されているし、むしろ、このB級感に期待して見るのは間違った鑑賞態度ではないはずだ。

 

とはいえ、本作では、グロテスクな描写やはかなり抑えられており、ゲテモノ的な楽しさは少ない。

ただ、例えば、クライドが大学である教授に箱について質問しているシーンで、背景に写っているプロジェクター投影の不気味な写真が移り変わっていて「いや、消せよ」とツッコませるような愛嬌のある演出がある。

あと、悪魔祓いをしてくれる青年が、初めてあった時イヤホンで音楽を聴きながら熱唱してたり。

他にも、MRIの中に悪魔の顔が写り込んでいて、「いや、いるの!? そこに挟まっているの!?」というとんでもシーンになっていて面白い。

 

ギャグっぽいのだが、この「体の中に悪魔が実際にいる」という設定によって、口から手が出てくるという悪魔描写と整合性を持たせている真面目さには素直に感心する。

そして、実は手が出てくる描写の前に、喉から指が見えるという不気味描写もあったりして、悪魔が本当に体内にいる、という設定は、随所でうまく恐怖シーンとして生かされている。

家族の絆

このストーリーに出てくるのは4人家族。

ドラマとしては、離婚した夫妻(クライドとステファニー)の関係が再生するドラマと、悪魔に奪われた娘エミリーを父クライドが取り戻すため自己犠牲を払って悪魔と戦うという父娘の絆のドラマがある。

クライドのバスケットコーチという設定は、クライドの栄転によるステファニーとのケンカを導くため描かれている(加えて、病院のシーンでクライドが理学療法室を知っているのもコーチとして使ったことがあるからだろうけど)。

基本的にクライドとステファニーは仲が良く、なぜ離婚したのかイマイチ分からないが、この栄転によるケンカによって、2人の不和の理由がなんとなく会見えるような展開になっている。

そして事件後、クライドは娘を置いて栄転するのをきっぱりと辞め、ステファニーとクライドはまた仲良くなる。

スリラーの中に、関係回復ドラマを上手く配置していると思う。が、やっぱりもともと仲良く見えるので、少し弱いかなとも思う。

 

そして、クライドとエミリーの物語。

誰よりも早くエミリーの異変に気付き、エミリーを救うために自分の身を悪魔に捧げようとするクライドの姿はなかなか感動的だ。

序盤では、菜食主義のポスターを選ぶシーンや、寝かしつける際に影絵で仲良く話すシーンによって、2人の仲良しぶりを描いている。

この2人の絆があるからこそ、途中で悪魔に取り憑かれているエミリーがクライドに殴られた演技をして、クライドが濡れ衣を着せられてしまう展開は、この映画の中でも特筆すべき悲しい展開になっている。

さらに、ここでクライドの欠点を言い連ねてクライドを精神的に追い詰めるエミリーの所業は、まさに人間の中の悪意に火をつける「悪魔の行い」として最適な描写になっている。

クライドを傷つけ、さらに家族の仲を引き裂く。まさに悪魔の所業。個人的には、この心理攻撃の部分をもうちょっと掘り下げてからクライマックスに行って欲しかったと思うくらいだ。

こうやって亀裂の入った2人の関係だったが、クライドは飽くなき愛によって悪魔祓い師を見つける。さらにクライドは自分の体に悪魔を入れることでエミリーを救う(純粋な子供に取り憑くんじゃなかったっけ、とは思うが)。

こうして、クライドとエミリーの絆のドラマが決着する。

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