概要
問題の多い軍人アレックスは、多国籍の合同軍事演習に参加していた。アレックスは演習中、自衛隊のナガタとケンカしたことで、演習後、船を降りるよう提督に宣告される。
演習中、ハワイ付近の海で宇宙からUFOが落下。ハワイ諸島を含む海域にバリアが張られ、アレックスらの乗った駆逐艦3隻は、このバリアによってその他の艦隊から隔離され、この謎のUFOと戦うことになる。
一方、宇宙人たちはハワイ島に上陸し、そこにある通信施設を使って、母星と通信し、さらなる援軍を呼ぼうと行動している。
アレックスらは、この通信施設の破壊の任務を受け、海上の敵と対峙しながら、通信施設の破壊を目指す。
レビューの印象
高評価
- 海上での迫力のあるバトルが面白い
- 伏線の回収や、バディムービーとしての面白さ、クライマックスでの胸熱な展開など、大作アクション映画として満足のでき
- いい意味でゆるさがあって、バカ映画として気楽に観られる
低評価
- 人間側もエイリアン側も戦術がテキトー過ぎて、戦いとして面白くない
- ご都合主義が多く、ドラマも浅はかで共感できず、主人公もダメ人間で応援できない
- SFとして、リアリティがなさすぎる
ナニミルレビュー
オススメ度:B
こんな気分の時オススメ:バカっぽい楽しいアクション映画が観たい時。エイリアンと人間のゲームのような戦いが観たい時。
良い点!
バトルものとして、どういうロジックで戦っているのかが分かりやすく、敵に攻撃が命中する爽快感が楽しい。
序盤での「これは勝てねぇ」という絶望感から、少し落ち着いて、夜の静かな戦い。さらに日の出を使った反撃。終盤での驚きの戦艦の登場と、その後の総力戦の迫力もとても良い。
また、それぞれのキャラクターも立っている。性格や、弱さ、それを乗り越えて強さを発揮する場面、協力し合って敵を倒したり危機を脱する場面など、チーム物としてもアツい展開がしっかり作られている。
イマイチな点・・・
ツッコミどころのオンパレード。
結局、宇宙人の能力や弱点も最後までよく分からず、もしあの宇宙人が大群で襲ってきても全人類が結束したら勝てるのでは、と思ってしまうほど、いろいろとテキトーである。
また、軍隊の描き方も雑で、軍隊に詳しくない人間が見ても、主人公の出世ぶりには納得がいかない。
最後の切り札になる戦艦も、その乗組員も「そんなわけないだろ」とツッコまずにはいられない。
しかし、映画冒頭のバーでの誕生日会から、巨乳美女の登場、スーパーでの空き巣シーン。この間抜けな導入からして、明らかに真面目に観る映画でないことは明らかで、その水準に気持ちを合わせて観るべき映画だろう。
戦艦バトル
基本的に、戦艦バトルで興奮するための映画だと言っていい。地球侵略物の展開や人間ドラマは陳腐だし、宇宙人の攻撃にしても微妙にショボく、地球滅亡の絶望感もそんなにない。
ただ、敵のバリアによって不可侵エリアが作られ、こちらが3隻、向こうも3隻(3体?)というボードゲームのような設定での戦いが見ていて楽しい。
最初、相手の能力もよく分からず、威嚇射撃をしてみたり、全力でアタックしようとしてみたり、そうこうしているうちに1隻、また1隻と落とされ、あっという間に1対3。
一応、ここがアレックスの絶望シーンに繋がってはいるが、アレックスの葛藤をそこまで掘り下げるわけでもなく、気絶した宇宙人の登場で、そんなイジイジ気分は吹き飛ばされる。
そこからは船内に侵入した宇宙人を罠にかけて倒す、最初の反撃シーンが展開される。
ここでアレックスが部下レイクスに「指令室へ行け」とだけ言って、あとは分かるな、と無言の連携プレーを展開するのがアツい。
というか、この映画、レイクスが走っているシーンが、どのシーンもやたらカッコいい。
夜になり、バリアのせいでレーダーが使えなくない中で、ブイを使って敵の位置を類推しながら、ミサイルを打ち込む、というレトロな作戦を提案するナガタ。
まず、通常のやり方が通用しなくなったところでの、バックアッププランとして、「そんな戦い方があるのか」という驚きがある。
そして、ミサイルを2回外し、ラストチャンスの3回目で2隻同時に当てる様子も、だんだん、敵の進行スピードを把握し、器用にタイミングを測るナガタのナイスプレーが光っている。
ここでようやく、敵の船を沈め、一気に1対1に持ち込む。
そして、夜明けの作戦。
部下が発見した敵の弱点を活用しつつ、ギリギリの船の舵取り、アレックスとナガタのイチャイチャ狙撃シーン、さらに、ようやくミサイルが狙い通りに当たる達成感。
これで、1対0。あとはバリアを出している装置を破壊すれば、お終いだ。
しかし当然そこで終わるわけはなく。登場するラスボス。
ここでようやく、総力戦の全力の打ち合い。こちらも被弾するが、「バトルシップを沈める? あり得ないな」という老兵のセリフ。
こうして敵を全て倒し、バリアが解除される。本当に、ゲームのような展開だ。
というか、この映画の原作はボードゲームらしいので、ボードゲームを原作に真面目にアクション映画化したら、こうなるのか、という感じ。
やや無理のある設定ではありつつ、最初でいきなり圧倒的不利になり、そこから臨機応変な戦術と、数少ない情報を活かしながら勝っていく展開はなかなか楽しいものになっている。
ツッコミどころと名セリフ
この映画のツッコミどころをいちいち指摘していたら、映画内で発射される砲弾より多くなってしまいそうだ。
アレックスのキャラクターと超スピード出世。なぜかちょいちょい攻撃を控える宇宙人たち、一番危険な役目を引き受けるキャプテン2人、突然ぞろぞろ現れる老兵、ハイテクなのかローテクなのかよく分からない宇宙人の装備。
特に、「いや、なんで殺さないの?」「なんで最初からこの武器つかわないの?」とツッコミ出したら、本当にダメな映画だ。
でも、これはゲームなんだよ。宇宙人はボードゲーム星からやってきたので、戦い方がターン制なの。だから、ちょっと攻撃した後は、こちらの攻撃を待っているんだよ。
と、どうにか納得しながら観るのが良いと思う。
その上でバトルの描写や戦いがツマラなかったら本当にダメな映画にしかならないと思うんだけど、そこは前述のように胸熱で面白かったりするので、このツッコミどころがむしろチャームポイントになっているような映画だ。
真面目に観てはダメだ。この映画に関しては、真面目に観る人は不真面目だ。
そんな、ツッコミどころ満載なストーリーに乗せて、数々の名言が飛び出す。
「君も死ぬ、俺も死ぬ、みんな死ぬ、だが今日じゃない」というセリフを筆頭に、カッコいいセリフが有名だ。
ギャグも面白くて、特に、敵と対面した当初、まさか宇宙人だとは信じられず「絶対に北朝鮮だ」と言ったり、「これってもしかして、超秘密兵器を使ったサプライズ演習?」とか、狙撃シーンでナガタがいう「な・つ・きゃ・ん・ぷ」だったり、コミカルな名言も多い。
こういうセリフを見ても、映画全体としてのテイストは揃っている。大味なストーリーに、スペクタクル満点の映像に、見得を切るようなセリフ郡。
でもちゃんと見所もあり、エキサイティングな場面はちゃんと用意されている。
このバカっぽい雰囲気を楽しむつもりで、テンションを上げて、ハードルを下げて観るのがオススメだ。
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