映画

最強のふたり -安心感を持って見られるブラックユーモア-

概要

事故で首から下が麻痺したフィリップ。彼が介護者として選んだのはスラム街出身で無職の黒人青年ドリスだった。

フィリップは、自分のことを憐みの目で見ないドリスを気に入り、彼に心を許していく。ドリスもまた、自分とは全く違う世界に生きるフィリップに影響を受けていく。

みんなのレビューまとめ

高評価

  • 裏表のないドリスと、そんなドリスを信頼するフィリップの関係性が心地いい
  • 暗くなりがちなテーマでありながら、主人公たちの明るさによって、ポジティブな気分になれる
  • 芸術やユーモアなどが上手く使われている

低評価

  • 感動的な設定をゴリ押しするストーリーに感じる
  • 主人公2人の人間性が嫌い
  • 2人の関係性はいいが、ストーリーとしては展開が小さくやや退屈

ナニミルレビュー

オススメ度:B

こんな気分の時オススメ:暗い現実を描きながらポジティブな気分にさせてくれる映画が観たい時。全く違う境遇の人間の間に生まれる友情が観たい時。

異文化が入り交じる興奮

お互いを補い合いう強みを持つ2人の主人公、大富豪フィリップと移民の青年ドリスのバディ・ムービー。

この映画をの楽しさはいくつもあるけど、まずひとつとして、貧困層のドリスが富裕層の文化と混じり合っていく様子が挙げられる。

ここがすごく楽しく見えるのは、ドリスの底抜けの素直さがあるから。

富裕層の文化に対して、卑屈になるのでもなく圧倒されるのでもない。単純に驚き、その楽しさを味わい、時には素直に馬鹿にしてあざ笑う。

このドリスの余計なフィルターをかけない態度が、この映画を気持ちよく見ていられる要因だと思う。

ある意味では格差を見せつけるようなストーリーなのに、あまり悲壮感がないのは、狭い団地で暮らしていようが、大豪邸に住んでいようが、ドリスはどっちでも生きられそうだという安心感があるからかもしれない。

贅沢は贅沢で楽しむし、貧乏なら貧乏でそれなりに生きていく。そんな余裕がドリスからは感じられて、観客は安心してこの際どいストーリーを楽しめる。

互いに影響を与え合う2人

余計なフィルターをかけないドリスの態度は、重度の障害を持つフィリップに対しても同じ。

そして、フィリップがドリスを選んだ理由でもある。「彼は私に同情してない」というのが、ドリスの採用理由だった。

同時に、フィリップもドリスに対して貧困層だというフィルターをかけていない。フィリップの友人がドリスの陰口を言っても、フィリップは「彼の素性など関係ない」と言ってドリスを雇い続ける。

このお互いに対する壁のなさゆえに、2人はお互いに影響を与え合う友人になっていく。

ドリスはクラシックを聞き、絵画の知識をつけ、ハングライダーを経験する。フィリップは黒人音楽を聞き、娘に説教をし、ジョイントを吸う。

信頼感があるからこそ、お互いの領域にある未知のものを体験し、世界を広げることができる。

2人を見ていると、そんな前向きな気持ちになることができる。

底抜けに明るいドリス

どのキャラクターも魅力的だけど、やっぱりこの映画の肝はドリスの明るさ。

ドリスの真っ直ぐさ、ニコッと笑う表情、分け隔てない態度。多くの人が憧れてしまうような魅力的な人物。

しかし、ドリスもただただ幸せな生活を送っているわけではなくて、母との関係は芳しくないし、弟は不良になり危ない目にあっているのに叱っても言うことを聞かない。

そして、このことがドリスの魅力に奥行きを与えている。

ドリスは頭の悪いただのハッピー野郎ではない。彼は彼の苦しみを抱えながら生きている。しかし周りに対しては常に大らかに、自分を包み隠さず接している。ドリスの明るさが示しているのは、ドリスの強さなのだ。

強さだからこそ安心して見ていられる。困難があってもドリスはきっと大丈夫。そう思わせてくれる。

この安心感がこの映画のベースにはずっと流れている。

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