映画

アジョシ -マフィアの抗争に巻き込まれた隣人の少女を救う寡黙な男-

概要

質屋としてひっそりと暮らす男テシク。問題の多い隣人、その娘であるソミとは、ミュージックプレイヤーを介した交流をしていた。

ソミの母親がマフィアから薬物を盗んだことをきっかけに、テシクとソミはマフィアの抗争に巻き込まれる。マンソク兄弟の仕切る人身売買マフィアにソミの母は殺され、ソミも臓器売買のために誘拐されてしまう。

ソミを誘拐する時、テシクの反撃を見て腕を見込んだマンソク兄弟は、ソミを人質にテシクを抗争の駒として利用する。ソミを助けるためマンソク兄弟の言いなりになるテシクだが、マンソクらの残酷さを目の当たりにして、力づくでソミを取り返す決心をする。

マンソクらが指示のために渡した携帯電話を手がかりに情報を集め、着々とマンソク兄弟に迫っていくテシク。マンソク兄弟に雇われた凄腕の用心棒ロワンとの闘いで銃弾を受けつつも、戦闘準備を整え、ソミを救うためマンソク兄弟に反撃する。

みんなのレビューまとめ

高評価

  • 悪役にも魅力があり、男同士の闘いが熱い
  • アクションシーンが上手い
  • 孤独な男が少女を救う、王道のストーリーで安定した面白さ

低評価

  • 敵側にアマチュア感があり、主人公の勝利がご都合主義に感じて乗れなかった
  • 王道のストーリーだが、全体的に暗く、残酷な描写もあって苦手
  • キャラクターの行動の動機が明確でなく、イマイチ感情移入できなかった

ナニミルレビュー

オススメ度:B

こんな気分の時オススメ:寡黙なヒーローが観たい時。強い主人公が悪をバタバタ倒していくストーリーが観たい。リアルというより漫画的な、キャラの濃い登場人物たちの映画が観たい。少し切ないアクション映画が観たい。

良い点!

平和に暮らしていた男を事件に巻き込んだら、手痛い反撃を受けるという隠れた凄腕物。誘拐される少女ソミと凄腕テシクとの不器用な関係の描かれ方がなかなか良い。テシクの家族を背景に描くことで、テシクのソミに対する気持ちを想像させる描き方も上手い。

ストーリーとしては、強い男が敵をバタバタ倒していく痛快なものでありつつ、臓器販売というエグいモチーフを噛ませて、かつ残酷な絵もちゃんと見せているので、緊張感のある雰囲気の映画になっている。

テシクとソミの関係もさることながら、悪役であるマンソク兄弟もまた魅力的。敵キャラとしてしっかり印象に残る。特に一見弱くて優しそうな兄のキャラクターがとても良い。最初マフィアのボスにビンタされまくるシーンで登場し、ヘナチョコな脇役かと思いきや、1番ぶっ飛んでるという演出も素晴らしい。

そして、物のように扱われる被害者、ゴミのように使われる孤児たちが描かれる一方で、ソミに対するテシクの思いや、マンソク兄弟の兄弟愛など、人間の感情が大きな振り幅で描かれているのも、ドラマとしていい味を出している。

イマイチな点・・・

テシクの捜査にイマイチ納得できない展開がいくつかある。

最初、渡された携帯電話の販売元から捜査を始めるけど、なんでそこで買ったものだと分かったんだろう、とか。ラストでマンソク兄がいる場所を、なぜテシクは知っているんだろうかとか。

そして、映画の結末自体は個人的に大満足なんだけど、あの目玉は誰のなんだろう、という疑問が残る。ちょっと無理がある展開な気もする。

 

テシクの強さ

やはり、テシクがバタバタ敵を倒していくさまが、この映画1番の見ドコロなのは間違いない。

テシクの格闘や銃撃戦がしっかり描かれるのは、映画真ん中あたり。それまで、テシクの強さは遠巻きに表されるだけだが、その演出もカッコいい。

最初に質屋を襲われる場面では、、建物の外からの映像で、窓ガラスが割れるだけでテシクが只者でないことが示される。

そしてやっぱりラスト、ラスボスのマンソク兄とその手下たちが待ち受ける部屋に単身乗り込んでいくテシク。そこでのナイフを使った闘いが面白くて、出血を誘って敵を殺すやり方にプロ感が漂っている。

さらに、最初の質屋襲撃で出会ったライバルのロワンとの一騎打ちもいい。ロワンの「とにかく強いやつと闘いたい」という物言わぬ闘志もカッコいい。そしてお互い短いナイフを使った器用な戦闘シーンも、静かながら、主観ショットも交えた新鮮な映像になっている。

 

悪役マンソク兄弟の魅力

この映画に出てくるキャラクターたちは、脇役まで含めてやたらとキャラが濃いが、特に悪役のマンソク兄弟が良い。チャラい雰囲気で凶暴な弟と、だらしないオジサンのようは風を装いつつ弟より凶暴な兄。

兄のキャラクターがひときわ素晴らしく、最初の登場シーンではマフィアのボスにひたすらビンタを受ける姿で登場し、どう見ても脇役だと勘違いしてしまう。だが、ボスに恫喝されているわりにはやたら冷静なところで、只者ではないかもしれない、という雰囲気を醸しだしている。

その後、ある男を拷問しようとする弟をよそ目に飯を食い、弟から斧を奪ってさっさと男を殺してしまう兄。無駄なことはせず、目的に真っ直ぐ容赦なく進んでいく様子が描かれ、「こいつは多分なんでもやるな」と予感させる。

こうして印象と行動のギャップを描きながら、ラストに向けて、だんだんと悪役としての魅力を増していくのが見ていて面白い。

 

行為やアイテムで物語る映像

全体的に、説明的な部分が少なく、締まった映画だという印象がある。

アクションシーンにしても、あえて全体を描かずにテシクの強さを表現する場面が多い。また、斧の一振りでマンソク兄の凶暴さを表現したり、その時の弟のリアクションで、この兄弟のヤバさに説得力をもたせたりしている。

ソミとテシクの関係も、母親が訪ねてきたときに、協力してご飯を隠すという行為で信頼関係を描きつつも、勝手に「花」を飾ったソミをテシクが怒ることで、また心の距離があることが示される。

そして、その「花」がテシクの亡き妻と娘のためのものであると分かると、その時のテシクの怒りが、妻と娘への思いの強さ故だと分かり、その思いがソミを救いたい気持ちに繋がっているのだと想像できる。

テシクを追う警察チームのボスが、テシクの部屋にあった植木に水をあげていたり、ソミが塗るマニキュアによってある残酷な事実が語られていたり。

ストーリー内で終始キーアイテムになっている携帯電話や、捜査の手がかりになるオモチャの箱など、細かいアイテムの使われ方を見ていると、ストーリーの上手さがよく分かる。

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