映画

南極料理人 -南極男子の日常、日本的オフビートコメディ-

概要

ある偶然から南極観測隊に料理人として参加することになった西村。そこには8人の個性的なメンバーがいた。閉鎖空間の中、男だらけの8人は協力したりケンカしたりしながら日々を過ごしていく。

それぞれのモチベーションの差、家族や彼女との遠距離な関係、隊員のために作られる美味しそうな料理、南極ならではの楽しみや大変さ。

男8人でありながら、マッチョさがまったくなく、どちらかといえば哀愁を感じさせるストーリー。南極観測隊の活動をモチーフにした、まさに日本的なオフビートコメディ。

みんなのレビューまとめ

高評価

  • 性格がバラバラのちょっと子供っぽい登場人物たちが、ぶつかりながらも楽しく交流する様が心地いい
  • 閉鎖空間で過ごすストレスフルな状況を、非日常なシチュエーションコメディに反転していて面白い
  • 変に感動や悲劇をねじ込んだりせず、ただただ日常の描写に徹している

低評価

  • 南極での仕事についてはあまり触れられていない
  • ストーリーとしての深みはなく、全体的に軽い印象
  • 自分勝手な登場人物たちが不快

ナニミルレビュー

オススメ度:B

こんな気分の時オススメ:哀愁のあるおじさんたちがキャッキャしている姿を観たい。南極での生活を観てみたい。練られたストーリーはいいから、気軽に観られて笑える映画が観たい時。

良い点!

男ばかりのわちゃわちゃした楽しさが味わえる映画。しかも、子供や思春期男子ではなく、家庭を持ったオジサンたちのわちゃわちゃが見られるのが特徴的。

それぞれに欠点があって、信頼関係もあれば、不仲なところもある。それも含めて、家族のように仲良く暮らしているのを微笑ましく眺めるハッピーな映画になっている。

そして主要キャラクターが8人と多い割に、それぞれのキャラクターに対して「この人はこういう人」というイメージがしっかり伝わってくるのが良い。

優しいオジサン、ちょっと怖いオジサン、だめオジサン、真面目オジサン、へなちょこオジサン、ちょいワルおじさん。その中にいて、皆に「食」という喜びを与える、ちょっと特異な立ち位置にいる料理オジサンを中心としたストーリー。

南極観測の大変さをあまり描かず、あくまで特殊な環境での交流を、軽いトーンでハッピーに描いている。

最後の西村のセリフも完全に外しにかかっていて、ドラマでしんみりさせることより(そういう場面もあるにはあるが)、楽しく笑わせる映画に振り切っているのが心地良い。

あと、西村の娘が本当にいいキャラ、いい表情、いいセリフなのも付け加えておきたい。

イマイチな点・・・

良くも悪くも、映画全体を貫くようなテーマや問題はないので、ストーリーを追っていく楽しさはあまりない。

どちらかというと、いろんな問題がその場その場で起き、それによるドタバタや、キャラクターの反応や、ちょっとずつ変化する関係性の面白さを描いていく作品。

それに関係して、あまり南極観測という仕事自体の大変さや細かいディテールは描かれないのが、人によっては少し肩透かしかもしれない。

あくまで、南極の基地という環境を使って、シチュエーションコメディを描いている作品。

これぞ日本的なオフビートコメディ

男ばかりの極限状態。

この言葉がアメリカの映画で出てきたら、それはきっと軍隊や特殊部隊がモチーフで、それがコメディだったとしても、セクシーな女性に痛い目に合わされたり、行き過ぎたマッチョさでバカなことをするスラップスティックになりそうだ。

しかしこの映画では、そんな激しい場面はなく、せいぜい仕事をサボった御子柴を真面目な平林が追いかけるところくらいで、のほほんとした空気で終始ストーリーが進んでいく。

男ばかりで閉じ込められていても、過剰に性欲が爆発することもなく、マンネスを証明するために筋トレに明け暮れる隊員もおらず、怪我をして無茶する隊員もいない。

娘からのFAXを壁に貼って眺める父親、そっけない彼女に退屈な別れを切り出される院生、とにかくラーメンが食べたい優しい隊長など、とにかく間が抜けた、攻撃力のないキャラクターたちばかり。

そして、そこがなんとも心地良い。

もちろん、日本人が男らしくないと言いたいわけではない。そうではなくて、「コメディ映画」というジャンルで考えた場合、欧米のガンガン激しいコメディに対抗して、日本的なクオリティのコメディを作ったら、まさにこれが正解なんじゃないか、と思わせてくれるようなコメディ映画だ。

仕事のサボりが原因でケンカした2人の男。それが仲直りするのは殴り合いの末ではなく、仲裁に入った男が大事にしていた娘の抜けた歯をなくしてしまったからだった。この優しい関係性と、ドアの前で申し訳なさそうに謝っている穏やかさがとてもいい。

こういう、なんとも日本的な、対峙より調和で進展していく人間関係と笑わせ方。

インスタントラーメンがなくて悲しんでいる金田。ラーメンを作るために必要な材料を調べていた本山。この材料をこれみよがしでなく、なんとなく西村に伝える本山。この全くヒーローになる気がないオジサンの優しいカッコよさが堪らない。

そう、過剰に自分の手柄を誇示したり、自分の男気をアピールしたりしないんだけど、実は隊員の役に立っていて、隊員もはっきり感謝を示したり褒め称えたりしないんだけど、内心とても信頼している。

この関係性の描き方が、なんとも日本的でいいなぁ、と思わせてくれる映画だ。

楽しい南極生活

南極観測基地での生活を描いた作品。ある意味では極限状態のはずだけど、この映画では、あまりそのシンドさは描かれない。まあ、少し不便そうだな、というくらい。

この描き方が気に入らない人もいるかもしれないが、コメディ映画として、あえてネガティブな部分を排除しているのは、ひとつのやり方だと思う。

実際、とてもハッピーな雰囲気に溢れる楽しい映画になっている。

 

外に出れば雪がある。それにかき氷シロップをかけて食べたり、氷を削ってそのまま酒の氷にしたりする。

また南極の冬至をお祝いする「ミッドウィンター」では、皆でオシャレをして、格式高い食事をしたり、節分には豆まきをしたりしている。

広い外に出て野球をしたり、肉に直接火を付けて斬新な調理を試したりする。

 

もちろん、ある食料がなくなったて、食事のバリエーションが減ってしまったり、電話にものすごい高額がかかってしまったり、使う水を得るためにはせっせと雪かきしなければいけなかったり、大変なところも描かれている。

それでも全体的には、秘密基地に集まった男子たちの、楽しそうな生活を笑いながら見ることができる。

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