映画

インサイド・マン -最高に注意深く計画された銀行強盗-

概要

マンハッタンの銀行に完全武装した銀行強盗が押し入る。彼ら万全の計画通り犯行を実行し、人質をとり、銀行に立てこもる。程なく警察が駆けつけ銀行を包囲する。事件の担当となったフレイジャーは電話を通じて犯人と交渉するが、犯人は落ち着き払って奇妙なクイズを出すばかりで、警察は翻弄されてしまう。

みんなのレビューまとめ

高評価

  • 犯人たちのスマートな犯行にワクワクする
  • 娯楽的な銀行強盗のストーリーに、政治的な批判性を持たせている
  • ラストで明かされる真実に、驚きつつ爽快な気分になる

低評価

  • 演出がわざとらしくて、先にトリックが読めてしまう
  • 政治がらみのサブストーリーが、銀行強盗のメインストーリーとあまり関係なくてテンポが悪い
  • 犯人側と警察側で視点が両方描かれるので、ラストでの驚きが少ない

ナニミルレビュー

オススメ度:B

こんな気分の時オススメ:完全犯罪ものが観たい時。敵ながらあっぱれというキャラクターが観たい時。

どうやって切り抜けるのか

犯人側が主人公の映画なので、当然「どうやってこの現場を切り抜けるのか」というのが、メインの関心事になる。

この映画ではストーリーの時系列が前後することで、主人公たちが強盗を成功させたことは中盤からハッキリと示される。それと同時に、事件自体が終わった後もまだ、事件の全貌がつかめない状況が続いていることも示される。

犯人たちの冷静で鮮やかな手口を見ているだけでもかなり面白い。その手口の中に、この現場からどう切り抜けたのかのヒントが少しずつ明かされていく。

しかし、事件後に人質たちの尋問をしている刑事フレイジャーと同じく、最後の最後、どう切り抜けたのかは、観客にもわからない。

見せるところと隠しておくところのストーリーテリングが巧みで、少しずつ全体像が見えてくるようでいて、しかし大事な部分は種明かしの時までずっと見えない。

結局、犯人たちは何をしたのか。観客も一緒に一泡吹かされる楽しさがある。

銀行の秘密

メインストーリーでは銀行強盗事件が描かれつつ、サブストーリーとして、襲われた銀行のオーナーの動きが描かれる。

このオーナーは貸し金庫に預けてある何かを隠したいらしい。

事件の全体像が見えない映画序盤こそ、このサブストーリーは退屈でどうでもいいシーンのように感じる。そんな政治っぽい話はどうでもいいから、鮮やかな犯行の手口をもっと見せてくれ、という気持ちになる。

しかし、この話がだんだんとメインのストーリーと絡んでくると、主犯格ダルトンの人格が次第に浮き彫りになってくる。それに加えて、このオーナーの秘密が、実は犯行計画の重要なピースになっていたことが分かってくる。

この秘密は、事件が終わった後まで尾を引き、刑事フレイジャーへのご褒美として、ダルトンから渡される置き土産になる。

これによって、犯罪映画なのだけれど、なんとも小気味よく終わりを迎えるストーリーになっている。

刑事と強盗犯の心理戦

強盗犯と対峙して奮闘するのは、ネゴシエーターとして派遣された刑事フレイジャー。

このフレイジャーもなかなかの切れ者で、犯人グループのスマートな犯行と並行して、フレイジャーの機転の良さも示される。

例えば、自分が現場の指揮官になったと伝えた後、一旦ミーティング用のトレーラーから離れたりする。「ここにいた方がいいのでは?」と相棒に聞かれると、「俺たちが横にいたらイラ立つだろう。彼らに準備する時間を与えよう」といって、カフェに引き下がったりする。

意地を張ったりせず、名を捨てて実を取る冷静さを持ち、犯人側だけでなく、味方に対してもどう振る舞うべきかを注意深く考えている様子を描いている。

綿密な計画を立てて着々と実行するダルトンたちと、冷静に相手を観察して次の一手を考えるフレイジャー。この両者の冷静で知的な心理戦が面白くないはずがない。

レコメンド作品

フライト・ゲーム

飛行機内で見えない犯人からの犯行予告と1人孤独に戦う男を描く作品

バンク・ジョブ

貸金庫を襲った強盗チームが盗んだものがきっかけで様々な人間に追われることになってしまうストーリー

ヒート

知的な犯罪者と切れ者刑事の戦いと友情を描く作品

16ブロック

プレステージ

2人のマジシャンの長きに渡る勝負を描いた作品