概要
人々の記憶から忘れ去られ、殺人を楽しむことができなくなったフレディ。フレディは、人々に自分の恐怖を思い出させるべく、ジェイソンの夢に出て彼をけしかけ、街を襲わせる。
街の人々はフレディの思惑通り、残忍な殺人を見て「きっとフレディの仕業だ」と考え、だんだんとフレディの記憶が街の中に広がっていく。
フレディは計画通り、街の人の夢に登場し、殺人を楽しもうとするが、その途中にジェイソンが被害者を殺してしまい、殺人の楽しみをジェイソンに奪われてしまう。怒ったフレディはジェイソンを夢の中で殺そうとする。
レビューの印象
高評価
- 二者のキャラクターを活かしながら、ひたすら夢のバトルを見せてくれる
- それほどグロくないが、スプラッター描写は過剰で笑える
- 戦いに戦略的展開があって面白い
低評価
- ホラー映画なのに恐怖感がなさすぎる
- エログロが物足りない
- 夢の対決であるわりにはストーリーもアクションも地味
ナニミルレビュー
オススメ度:B
こんな気分の時オススメ:モンスターの夢の共演が観たい時。ストーリーよりアイデアの面白さが観たい時。
ポジティブ
わんぱくなアイデアを具現化した愛すべきB級映画。
序盤のフレディの回想や、ジェイソンの過去回想により、ジェイソンやフレディのキャラクターや設定を知らなくても、物語の背景はざっくり理解できるようになっている。
そういう意味では、シリーズの中で、1本目にこの作品を観るのもアリかもしれない。
ネガティブ
わんぱくなアイデアを具現化した、という以上の見ドコロは正直あまりない印象。
人間側のドラマにしても、モンスターとしてのジェイソンやフレディの情念にしても、あまり感情に訴えてくるものがなく、あくまで「この2キャラクターの対決」というアイデアを達成するための装置として置かれている感じ。
バトルアクションの駒として漂白されたジェイソンとフレディ、という感じがした。
そして、フレディの回想の中で描かれる『エルム街の悪夢』シリーズの映像がかなり凄いのだが、本作ではそこまでのスプラッターもなく、全体的にライトな作品になっている。
フレディとジェイソンのバトル
言わずもがなだけど、この2人が闘っているというのが最大の見ドコロ。
フレディが現実に具現化し、燃える小屋の中で闘うシーンは、完全にプロレスで笑える。
鈍重ながら打たれ強く攻撃力のあるジェイソンと、弱いけど周りにある道具を器用に使ってジェイソンと闘うフレディ。
殴り合いを続ける消耗戦なのだが、両者とも異常な生命力なので、バトルがずっと終わらない。
ヘビー級とライト級のプロレスとしてのバーサス物。
モンスターの切なさ
本作では、若者たちにジェイソンとフレディがバカにされるシーンがちょこちょこある。
特にクライマックスで、キーアがフレディをおびき出し、「なにそのダサい格好。指にバターナイフ付けて、何かのコンプレックスの裏返し?」と挑発するシーンはコメディとして面白い。
なによりこの映画のストーリーの始まりは、忘れ去られたフレディが「もう一度自分のことを思い出させよう」と考えることから始まる。
忘れ去れてしまったキャラクターが、自分を思い出してもらうように頑張る姿は、それはそれで切ない。
過去にフレディに襲われているマークの夢で、「俺の伝言を伝えろ」「いやだ」「俺に自分で伝えろっていうのか?」と問答するシーンは、恐怖シーンでありながら、フレディがかまってちゃんに見えるシーンでもある。
ジェイソンの夢の中で、ローリーがジェイソンの子供時代に行き、そこで溺れたジェイソンを助けようとするシーン。
ローリーは溺れるジェイソンに手を伸ばすが、水面から上がってきた子供ジェイソンの顔面を見てドン引きして手を離してしまう。
ローリーに悪気がないがゆえに、ここも手を離されるジェイソンの切なさが全面に出たシーンになっている。
全体的にモンスター側の苦悩を感じさせるような場面は少ないが、ただ「切ない」と思う場面はところどころにある。