概要
走行中のトラックの積荷を、走行しながら盗むという強盗事件が多発。
そんな中、ストリートレースのトップに君臨するドミニクの前に、ブライアンという若者が現れる。ブライアンはドミニクにレースを挑み敗北。レース後、警察が駆けつけドミニクがピンチになるが、ブライアンがそれを助け、彼はドミニクらの仲間に加わる。
しかし、ブライアンは強盗事件を捜査する潜入捜査官だった。ブライアンは操作を進める中でドミニクの魅力に気付き、捜査官としての自分とドミニクの友人としての自分の間で揺れ動く。
レビューの印象
高評価
- 職務と友情の間で揺れ動くブライアンに共感できる
- ストリートレースを中心としたストーリーが面白く、スピード感、カーアクションが素晴らしい
- 信頼と裏切りのある友情の描き方が良い
低評価
- 犯罪捜査をめぐるサスペンス部分が雑に感じる
- 登場人物たちの内面が子供っぽすぎて共感できない
- ストーリーにひねりがなく淡々と終わる
ナニミルレビュー
やっぱり車!?
やっぱり『ワイルド・スピード』の見ドコロといえば車でしょう。マニアックな部品で改造され、ブンブンとカッコいいエンジン音を立て、超高速で画面を走り抜けていく車。車好きには堪らないシーンの連発。
なのでしょうが、個人的にあまり車に詳しくはないので、そのあたりの面白さは紹介できません(申し訳ない)。
しかし、それじゃあ車に詳しくない人が見るとぜんぜん面白くない映画なのか?といえば、そんなことはない。
ストーリーもストーリーで面白さがあるし、あまり詳しくないといっても、やっぱりカーチェイスやら、スピード勝負は見ていて面白いもの。別に銃や格闘技に詳しくなくたって、銃撃戦や格闘シーンが面白いのと一緒。
そういう意味で、「車は詳しくないから」という理由で見ないのは勿体ない、と個人的には思う映画。
ストリートレースの熱狂
むしろ車に詳しくないからこそ、ストリートレースの描写が新鮮で面白い。全く知らない文化を映画の中で知ることができるのも映画を観る楽しみの1つ。
夜になると、ビルの間にわらわらと集まってくる参加者と観客たち。車で公道をジャックし、警察無線を傍受しながら、「ゼロヨン」と呼ばれるレースのコースを確保する。そしてレースが行われ、警察が来ると、みんな一目散に逃げていく。
主人公ブライアンはこのレースに敗れる。しかしその健闘ぶりから、観客達から拍手を受ける。
そして映画のラスト、映画のキーパーソンであるドミニクとブライアンの会話もまた、同じゼロヨンレースの形を借りて行われることになる。
言葉よりもスピードが物を言う世界。このアツさもこの映画の持ち味だ。
チームという名のファミリー
『ワイルド・スピード』の大きな魅力は、キャラクターたちのファミリー感だろう。いい意味でヤンキーっぽい。
そこでは、我が身を省みずに行った献身が評価される。ブライアンがドミニクに気に入られたのも、警察に追われるドミニクを助けたからだ。
ドミニクの家に集まり、バーベキューしてリビングで映画を観るボンクラ感。仲間のために本気でキレるドミニク。
潜入捜査官であるライアンも、ドミニクの魅力にほだされてドミニクをかばってしまう始末。
こんなファミリー感のあるチームの一員になれてしまったからこそ、クライマックスでのライアンの葛藤がドラマチックになっている。
もはや捜査官としてではなく、友人としてドミニクを助けたい。しかし、ドミニクは嘘をついている自分を絶対に許しはしないだろう。
ブライアンは仲間の命を助けるため、何も言い訳ができない状況でドミニクに真相を知らせる。当然ドミニクはキレる。
そこから最後の、言葉がいらないレースでの対話。そしてライアンの選択。
このファミリー感の心地よさと、ライアンの葛藤が絡み合って、いいラストシーンになっている。