映画

A.I. -愛がロボットを人間にするのか、その愛自体が人工物なのか-

概要

すでに人間と区別がつかないほど精巧なロボットが一般化した近未来。

ロボットメーカーの新たな試みとして、親を愛する機能を持った子ども型ロボットが開発される。

主人公は、まだ一般には流通していない子ども型ロボットのデービッド。

デービッドは、テストとしてある家族に託される。その家族には寝たきりの息子が1人いて、デービッドはその穴埋めをするように家族の一員となり、家族3人の暮らしが始まる。

始めこそロボットの子どもに反感を抱いていた母モニカであったが、徐々にデービッドに愛着を感じ、ついには、自分を母親として認識させるプログラムコードをデービッドに入力する。

これにより、デービッドは本来の機能である「母への無償の愛」を有効化されることになり、この時点から彼女を「モニカ」ではなく「ママ」と呼ぶようになる。

しかしその後、寝たきりの息子マーティンが病から回復したことから、ストーリーが展開していく。

母の愛を取り合う2人の少年。いくつかの誤解やすれ違いから、デービッドはメーカーへ送り返されることになってしまう。しかし、デービッドが解体されてしまうことを防ぐため、モニカはデービッドを森に捨てることを決意する。

ここから、母の愛を求めるデービッドのアドベンチャーが始まっていく。

みんなのレビューまとめ

高評価

  • 悲劇のような、ハッピーエンドのような不思議なストーリーで興味深い
  • ロボットが人間の比喩であったり、ロボットを通して神と人間の関係を想像できたり、読み応えがある作品
  • 人工知能である主人公を通して、愛について考えさせられる

低評価

  • おとぎ話的なストーリーがややご都合主義で説教くさく感じる
  • 前半と後半でかなり内容が違い、かつ後半は一本のストーリーとしてまとまりがなく、冗長に感じる
  • メッセージ性が強いようでいて、曖昧

ナニミルレビュー

オススメ度:B

こんな気分の時オススメ:SFの世界観で展開するおとぎ話が観たい時。可哀想な主人公の悲劇に浸りたい時。

愛を求めるロボットのアドベンチャー

全体的に観ると、悲劇の主人公デービッドの物語が感動的に描かれた作品ということができるだろう。

ロボットたちが搾取される残酷な場面も見せながら、「人間になりたい、ママに愛されたい」という一途な気持ちで旅を続けるデービッドの健気さが描かれている。

 

そして映画終盤。悲しいストーリーとして終わるかと思われた物語は、意外な方向へ展開する。

SFからファンタジーへと、世界観が奇妙に混ざりあうようなストーリー展開の中で、デービッドの願いは実現する(「実現」と取るかどうかは観る人次第だと思う)。

どちらにせよ、とにかくデービッドの母の愛を求める強い気持ちが終始描かれているのは間違いない。

 

デービッドの「愛」

普通にストーリーを見ていくと、悲劇的かつ感動的なストーリーだという感想を持つのだけど、デービッドがロボットであるという事実を鑑みると、デービッドの健気さに対して、妙に不安な感情が生じてくる。

この映画を観終わって、序盤の展開に思いを巡らせてみると、デービッドの母モニカに対する感情は、モニカがあるプログラムコードを入力したことで生じたものだったことが思い出される。

そう。まさに、スイッチを入れたように、突然「ママ」と言い出したのだった。

 

この映画を観終わった後で、デービッドの健気さに対して持つ感想は、恐らく大きく2つに分かれると思う。

1つは、人間以上の健気さにただただ感動するパターン。もう1つは、この健気さが、融通の効かないプログラムのように感じてしまうパターン。

ぼく個人的には、この2つの感想がどちらも渦巻くような感じで、なんとも微妙で判断がつかない映画だなー、と感じている。

 

人間以上の健気さを持つデービッドの母に対する愛情は、ある意味で言えば、人間には考えられないスピードで計算処理をするコンピューター的なもののようにも感じられる。

「異常さ」というのは、感動的にも、不気味にも感じられる。

デービッドを作ったホビー教授は、「君は自分の意思を持った初めてのロボットだ」とデービットに話す。

たしかにデービッドは意思を持って目的のために行動している。しかし、その意志を生んでいる目的自体は、あの謎のプログラムコードから生じたものだった。

この事実に、マジカルな雰囲気を感じて、「強い気持ちが彼を人間にしたんだ」と思う人もいるだろう。逆に「その童話のようなマジカルさは、リアルなロボットの皮膚のような表層であって、結局デービットが求めていたのはプログラムに仕込まれた人工的な愛だったんだ」と思う人もいるだろう。

これは本当に、観る人によって違うと思う。そして、あなたはどう思うだろうか。今でも一見の価値がある映画だと思う。

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