概要
恐竜の起こした事故によって閉鎖された「ジュラシック・パーク」。その創始者ハモンドは、島の保護を要請する資料作りのため、イアンやその恋人の古生物学者サラたちに、島での調査を依頼する。
ハモンドの後、新しく社長に就任したハモンドの甥ピーターは、会社の経営を立て直すため、島に残った恐竜を本土に持ち帰り、テーマパークを作る計画を考える。
イアンやサラが島に降り立って間も無く、恐竜を捕獲するべくやってきたピーターとハンターたちが現れる。両者は恐竜に襲われ、対立しながらも協力して島からの脱出を目指す。
レビューの印象
高評価
- キャラクターの個性が立っており、悪役であるハンター側にも感情移入の余地があって、登場人物が充実している
- 人間のエゴが分かりやすく描かれている
- さまざまな恐竜が見られて嬉しい
低評価
- 馬鹿なキャラクターの行動にイライラする。またそのせいで他のキャラクターが巻き添えを食う展開に納得できない
- 間延びしている。クライマックスに蛇足感がある
- 設定やストーリーに無理があり、絵を見せたいがためのご都合主義な展開に感じる
ナニミルレビュー
オススメ度:B
こんな気分の時オススメ:恐竜パニック映画が観たい時。環境問題を取り扱う大衆映画が観たい時。呉越同舟的なサバイバル映画が観たい時。
ポジティブ
恐竜襲撃シーンのバリエーションが前作より増えている。
恐竜を狩るシーンで、恐竜についての解説が入るシーンは面白かったし、小さな恐竜の群れに執拗に追いかけられるシーンも、大きな恐竜が多いジュラシックパークの中では逆に新鮮に感じられた。
「赤ん坊を守っているだけだ」といって、恐竜を銃で撃つのを拒んだエディがティラノサウルスに食われるなど、手厳しい描写もちゃんとあって、恐竜の道理のなさをちゃんと描いている。
ネガティブ
全体的にドラマが希薄で、誰も成長しないし、キャラクター同士の関係性もそれほど変化がない。
特に、イアンと娘ケリーの関係性はドラマのメインになるかと見せかけて、後半になるとケリーの存在感は薄くなっていく。
一応ケリーは、怖がっていた恐竜をクライマックスでやっつけるという成長を見せているが、その成長が、親子の関係性の変化にまで達していないので、ただケリーが頑張りました、というところで終わってしまっている。
イアンとサラの恋人関係も、序盤にあった2人の葛藤は、特に解決されないまま映画は終わっている。
ハンター側のローランドも、正義ではないが魅力的なキャラクターとして登場するが、そこまではっきりとした活躍や葛藤が描かれず、「仲間がたくさん死んだから、もうこの仕事は受けない」といって去っていくだけ。
前作で恐竜ビジネスを推し進めるハモンドは、子供っぽい野心とそれがもたらす残酷な帰結を目の当たりにする切ないキャラクターだったが、本作のピーターは単純に強欲なビジネスマンで、共感の余地がない。
序盤で描かれる、イアンが狂人扱いされているという設定も、ラストでそこまで気持ちよく解消されるわけでもなく、ただニュース映像によって世間にも恐竜の存在が知れ渡ったと説明されるだけである。
葛藤のタネが序盤でばらまかれているわりに、映画後半はアクションを見せるアドベンチャーがメインになっており、結局ドラマは忘れられ、葛藤は解決されていない。
人間より恐竜を描きたかったんだろうけど、ストーリーとしては物足りない。
それぞれの思惑
前作で閉鎖された「ジュラシックパーク」の遺産を巡り、キャラクターたちの思惑が交錯するのが本作のメインドラマになっている。
恐竜たちのいる島を保護したいハモンドと、ハモンドから会社を受け継ぎ、恐竜をビジネスに利用しようと考えるピーター。
ハモンドの依頼で恐竜観察の機会を得るサラと、環境保護活動家のニック、サラを連れて帰りたいイアン。そしてピーターの依頼で恐竜を捕獲しにきたローランドたちハンター集団。
サラたちの観察はローランドたちの狩りに邪魔され、ローランドたちの狩りはサラとニックに妨害される。
さらに両者とも恐竜に襲われて連絡手段をなくし、肉食恐竜の巣がある島中央へ通信施設を目指すのアドベンチャーが始まる。
この道中でも、隙あらば恐竜をハントしようとするローランドと、それを阻止するニックの攻防があり、島を脱出した後も、ピーターはしぶとく恐竜を捕獲し、ビジネスのために本国へ連れ帰る。
知的探究心、恋人の安全、環境保護、ハンティング、ビジネスなど、さまざまな思惑を持ったキャラクターたちが、ある時は対立し、ある時は協力しつつ、島から脱出し、最後は、人間の強欲さを戒めるエンディングになっている。
恐竜の恐怖
本作でも、恐竜描写が見ドコロになっている。
前作よりも、恐竜の顔がまじかに迫ってくるシーンが多い。
また、大きい恐竜だけでなく、小さな恐竜が群れで襲ってくる恐怖も描かれている。川でハンターの1人が執拗に追いかけられて食われたり、茂みの中をラプトルが迫ってくるシーンが印象的。
クライマックスでは、ラプトルに追われ小屋の中に追い詰められながら、建物から建物へと飛び移りながら逃げる活劇シーンもある。
またサンディエゴに連れてこられたティラノサウルスが、街中で暴れるパニックシーンもある。
本作は、前作に比べてドラマが薄い分、アクションシーンは前作よりも充実している。