映画

ファーゴ -どんどん泥沼化していく誘拐事件と、おっとりと解決される殺人事件-

概要

借金苦のジェリーは、裕福な義父から金を奪うため、妻の誘拐計画を企て、あるチンピラ2人に仕事を依頼する。妻を誘拐し、義父に身代金を出させ、それをチンピラと分けるというシンプルな計画のはずだった。

しかし、誘拐した妻を運んでいる途中で警察に車を止められたチンピラは、警察を殺し、運悪くそこを通りがかった2人の目撃者も殺してしまう。

妊娠中の女性署長マージは、雪に覆われたある田舎町で、3人が殺される殺人事件を追う。

だんだんと泥沼化していく誘拐事件にジェリーとチンピラが頭を悩ませる中、冷静に捜査を進め、着々と犯人へと迫っていくマージ。

みんなのレビューまとめ

高評価

  • キャラクターそれぞれの見せ方、対比(哀愁や小さな幸福感、残酷な行為)が上手く描かれ、やりとりを見ているだけで楽しい。
  • とにかくずさんなキャラクターたちによる事件の顛末が、残酷なのにコミカルで、淡々としているのに不思議な面白さがある
  • 魔が差して犯した小さな悪が、どんどん最悪になっていく様子が面白い

低評価

  • 淡々としていて、驚きも緊張感もなく、退屈
  • 行き当たりばったりのご都合主義的なストーリーで入り込めなかった

ナニミルレビュー

良い点!

こんなヘンテコで面白い事件があるのか、と思うようなストーリー(実際に起きた事件というのは嘘らしいけど)。物語を鑑賞する楽しさが詰まっている。

そして、平和で穏やかな街、それを象徴するようなマージというキャラクターと、誘拐事件が引き起こす凄惨な出来事のギャップがコミカルに描かれている。

さらに、出来心から犯罪を犯したジェリーが、どんどんドツボにはまっていく様子も、皮肉たっぷりでたまらなく面白い。

また、キャラクターたちの会話の絶妙な間が可笑しい(特に娼婦2人の事情聴取シーン)。

イマイチな点・・・

間の抜けた雰囲気の映画なので、サスペンスを期待して見るとガッカリするだろう。

基本的に、緊張感なくノホホンと進むマージの捜査が、なぜかどんどん的を射て事件の核心に迫っていく、というコメディになっている。

部下から情報がもたらされて「それ良い情報じゃん!」と素朴なリアクションをとるマージは笑えるが、真剣に見ていれば、そんな都合よく謎が解かれていく様子に肩透かしを食うだろう。

また、駐車場のゲートキーパーとの会話やら、マイクという旧友との会話やら、事件やその解決と直接的に関係がないシーンもあり、そこでモタついた印象を持つ人もいるかもしれない。

が、そういう部分も含めて不思議な雰囲気のコメディ映画なのだと思う。

どんどん最悪になっていくジェリーの不運

この映画のストーリーは、借金苦に苦しむジェリーが狂言誘拐をチンピラに頼むことから始まる。

義父が投資話に乗ってくれれば、自分の金銭問題も解決すると思っていたジェリーだが、乗り気でない義父より手っ取り早く狂言誘拐を依頼してしまう。

と思ったら、投資話に乗ってくる義父。喜びつつ誘拐をキャンセルしようとするがチンピラと連絡がつかなくてヤキモキするジェリー。

そして喜び勇んで義父の元に行くと、投資話を丸っと義父に奪われてしまう。

「クソが!」と怒り心頭で家に帰ったジェリーは、妻が誘拐されていることに気づく。結果オーライで予定通り義父に身代金を無心する。

この時点でジェリーはいろいろ振り回されている。

しかし、事態はここからどんどん最悪になっていく。

チンピラが警官を含む3人を殺してしまったことから、こっそりと進むはずだった誘拐事件とは別に、殺人事件としてジェリーは警察に事情聴取される羽目になる。

その後もジェリーの計画は思い通りにいかず、ストーリーが進むごとに、ジェリーの状況は最悪になっていく。

まあ、単純にいえば「悪いことはするもんじゃないな」という教訓めいた印象のあるストーリーだが、それよりももっと皮肉っぽい雰囲気が漂い、とてもコミカルな悲喜劇として、とても面白いストーリーになっている。

惨劇と対比的に描かれる平穏

このストーリーで描かれる事件以外、このストーリーで描かれる世界は平和そのものである。

深い雪に覆われ、本当にゆったりと時間が流れている。それを象徴するのが、殺人事件を調べる女性署長のマージ。

殺人事件の調査に最も似つかわしくないと思われる「妊婦」というキャラクター。マージはのっそりと歩き、事件現場でつわりのため小休止し、画家の夫と共に盛りのランチをゆったりと食べる。

事情聴取に応じる街の住人たちもどこか牧歌的で、間が抜けた雰囲気だ。とにかく「yeah?」という単語が異常に多い。日本語でいうと「ねぇ?」「でしょお?」みたいな、特に意味はない語尾がやたらとセリフにくっついている。

この意味なく間延びした会話からも、ゆったりとした穏やかな時間が流れている。

どんどん追い詰められているジェリーや、流血沙汰のチンピラ2人の泥沼と対比的に、このおっとりとした田舎の空気が描かれ、それがコミカルな雰囲気を作っている。

そして何より、そんなのっそりとした調査をしているマージが、どんどん事件の真相に迫っていく。端的に言って、最短距離で迫っている。

そして、危険な場面でも、マージはおっとりと対応し、事件を解決に導いていく。

この奇妙な対比によるオフビートな空気感こそ、この映画の1番の見ドコロではないかと思う。

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