映画

ミルク・マネー -嘘から始まった恋が偏見を打ち破る-

概要

ストリップを見るため、友達と3人で都会で出かけた中学生のフランク。そこでフランクは娼婦のVと出会う。自転車を亡くした3人を、Vは車で家まで送り、そこでフランクの父トムと出会う。

母のいないフランクはVとトムを恋仲にしようと画策し、Vはしばらくトムらの家で過ごすことになる。。トムはVが娼婦だと知らないまま、2人は良い関係になっていく。

一方、Vのポン引きが金を横領していたことで元締めに殺され、さらに、Vがその金をもって逃亡したと濡れ衣を着せられてしまう。

徐々に親密になっていくフランクとトムとVの穏やかな生活。しかし、そこにだんだんと追手が迫っていた。

みんなのレビュー

高評価

  • うぶな少年たちが可愛い
  • 全く立場の違う登場人物たちがお互いに助け合っていくストーリーが温かい

低評価

  • 少年が娼婦と知り合い、その少年の父が娼婦と恋をするというストーリーに乗れない
  • 感動させることありきのキャラクター設定に感じる

ナニミルレビュー

オススメ度:B

こんな気分の時オススメ:しっかりドラマがありつつ軽いコメディが観たい時。年が離れた男同士の友情を見たい時。ブラックユーモアのある作品が観たい時。孤独を感じている時。

良い点!

思春期になりたて男子の可愛らしい性に対する興味とか、娼婦だけど善人で応援したくなるVのキャラクターなど、人物の描き方は好感が持てるもので見ていて楽しい。

トムの誤解を使ったコメディも楽しいし、トムが偏見を捨ててVへの気持ちに素直になるという展開も、ドラマとしてもメッセージとしても気持ちよく見られる。

イマイチな点・・・

サブストーリーである、Vがマフィアに追われるところは、いろいろ無理がある展開になっている。

トムの知人が追っ手を引き寄せる展開も取ってつけたようだし、追っ手の諦め方も不自然。さらに、Vが最後までカバンの中のお金に気づかないのも無理があるだろう。

最後は成金エンディングにするより、お金と引き換えにVを自由にするような展開の方がスッキリ見られたのではないか、と思わずにはいられない。

 

無邪気な性への興味

事の発端は、フランクら3人が「女の裸を見たい」と願い、小銭を集めて都会で娼婦を探すところから始まる。

といっても、そもそも「娼婦」という存在の意味もあまり明確に理解していな3人の無邪気な性欲がコミカルに描かれている。

フランクの性に対する純粋な好奇心。大人が聞くとドギマギしてしまうが、フランク自身は大真面目に聞いている可笑しさが、フランクと父やVとの会話の中に現れている。

 

この無邪気さは、あまりリアルだとは言えないかもしれないが、この映画のとても可愛らしい雰囲気を作るいいキャラクターになっている。

また、「娼婦との恋愛」というモチーフに対して、フランクの無邪気さが良い助けになっているのも間違いない。

Vが娼婦だと知って及び腰になるトムに、「職業じゃなくて人柄なんでしょ」と言うフランクの純粋さは、この映画全体のメッセージであるこの言葉に、強い説得力を与えている。

性に対して変な偏見を持っていないことで、フランクはVをまっすぐ見られるのだ。

 

Vとトムのロマンス、フランクとの友情

この映画は、トムとVのロマンスと、Vがマフィアから追われてしまうサスペンスの2つの要素から成っている。

正直言って、サスペンスの部分はかなり無理のある設定や展開もあり、そのせいでこの映画を楽しみきれない人もいるかもしれない。

だが、メインであるロマンスに関しては、よくできた展開になっていて、かつキャラクターの魅力、そして誤解によるコメディや葛藤、2人がときめき、ケンカを乗りこえていく様子も上手く描かれている。

 

まず、ずっと娼婦として都市で生きてきたVが郊外に来ることで、一人の女性として扱われたり、イケてる女性として中学生たちの憧れの視線を浴びたりする痛快さがいい。

Vは自分に劣等感を感じてトムとフランクの元を去ろうとする繊細なところを持っている。と同時に、人の家の風呂に勝手に入ったり、学校の保健体育の授業に忍び込んでフランクを手伝ったりと、都会人的な豪快さを持っている。

この女性としての繊細さと、娼婦としての豪快さの両面が交互に現れつつ、トムとの関係で揺れ動いている姿が、Vを魅力的なキャラクターにしている。

 

そして、この心の揺れ動きを引き起こしているのが、キューピット役のフランクであって、フランクがいなければこのロマンスは成立しなかった。

トムとVを恋仲にしようとするフランク。その過程で生まれていくフランクとVとの、親子のような、姉弟のような奇妙な友情も、この映画の見ドコロだ。

 

トムは始め、Vは数学の家庭教師だとフランクに嘘をつかれる。Vはトムが自分を娼婦だと知っていると勘違いし、トムのオープンマインドぶりに心惹かれていく。

この2人の認識のすれ違いは、会話劇としてとても上手いコメディになっている。

例えば、教師だと思っているVに対してトムは「教えるのが上手いんだね」と言うが、Vはこれを性的な意味に解釈して、「あなたに教えてあげてもいいのよ」と返したりする。

さらに、道でばったり出会ったフランクの友人に、Vはトムの妹で叔母だと紹介される。

そこで、Vとトムがデートしているところを見て、ご近所さんは「あ、兄妹仲良くしているわね」と言いながら2人を見ているのだが、そこで突然キスする2人を見て唖然とする、というギャグもあったりする。

 

フランクがVをかばうためにつく嘘、Vがフランクをかばうためにつく嘘は、2人の友情を紡ぎながら、コメディを引き起こす伏線になっている。と同時に、トムの葛藤を生み、その葛藤がこの映画のメッセージになっている。

このロマンスは嘘から始まる。そして嘘がなければ始まらなかった。そして、恋に落ちたからこそトムは固定観念を捨てることができた。

人の中身をちゃんと見よう、というメッセージを、キュートな雰囲気と面白いコメディで上手く描いた作品になっている。

 

 

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