映画

JFK -子どもの幸せのために、公の責任を果たす男-

概要

地方検事ジム・ギャリソンは、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件後、お膳立てされたかのように犯人が捕まる様子に疑問を抱く。

ギャリソンは、独自に隠密捜査を開始。さまざまな証言や資料を集め、真相に近づいていく。しかし、ギャリソンが真相に近づくほど、政府やマスコミからの圧力も増していく。

みんなのレビューまとめ

高評価

  • 史実を元にしたミステリーだが、主人公の葛藤も踏まえてドラマチックに展開していくので、退屈せずに最後まで観られる
  • 事実を積み上げて陰謀を暴いていく様子がスリリング
  • 国家や民主主義について考えさせられた

低評価

  • 予備知識がないと展開を追うのが難しい
  • 映画の中で語られる「真相」に違和感がある
  • 前半はミステリー、後半はドラマとなっており、不必要に長く感じる

ナニミルレビュー

オススメ度:B

こんな気分の時オススメ:現実の陰謀を暴いていくストーリーが観たい時。政治的巨悪をモチーフにした映画が観たい時。圧力に屈せず信念を貫く主人公が観たい時。

ケネディ暗殺の謎に迫る

あまり歴史や政治に興味がない人でも、「ケネディ暗殺」という言葉を1度は聞いたことがあるのではないだろうか。

正直、ぼくもこの件についてそこまで知らず、「すごく人気のあった大統領が暗殺された事件」くらいの認識しかなかった。

3時間を超えるかなり長い映画。映画冒頭は当時の実際の映像と、映画の映像を巧みな編集で織り交ぜながら、映画がまるで現実であるかのように、ストーリーに引き込まれていく。

とはいえ、この事件やアメリカの歴史に興味がある人でなければ、最初の1時間ほどは少し退屈に感じてしまうかもしれない。

というのも、序盤は次から次へと事件に関する情報の連続だからだ。しかも、ドラマ性が乏しく、登場人物から「実はこんな事実があった」と、次から次にセリフで情報が足されるだけ。

知識がない中で観ると、情報を追いかけていくことに精一杯。

さらに、情報の足され方が「謎解き」ではなく「パズル」になっている。観客がキャラクターと一緒に考える余地はほぼなく、ただただセリフで情報が明らかにされていくだけ。なので、ストーリーを追いかける楽しさもあまりない。

そんな風に、とにかく情報を手短に詰め込んでいるにもかかわらず、上映時間が3時間を越している。逆に、このことから、いかに丁寧に状況を説明しているかが分かると思う。

観ていると少し退屈に感じるかもしれない。だが、ここにドラマ性を入れていたら4,5時間の映画になってしまうだろう。だから、序盤は少し退屈だ。しっかりと事件の基本的な情報を観客に与えることの方に重きが置かれている。

ストーリーが進んでいくに連れ、だんだんと真相に迫っていく。

その中で、主人公の地方検事ギャリソンの中にもさまざまな葛藤が生じてきて、ドラマとしての面白みも増してくる。

さらに、立ちはだかる巨悪からの圧力。情報戦。圧倒的に不利な状況の中で踏ん張るギャリソン陣営。真実を追うギャリソンのストーリーに、序盤の退屈さは吹っ飛んでしまう。

最後、法定でのギャリソンの演説。ここのギャリソンの熱い言葉は、本当に真に迫るものがある。

もちろん、この暗殺事件の真相はまだ分かっていない。この映画で描かれる内容も、もしかしたらかなり偏っているのかもしれない。

しかし、正義を求めるギャリソンの姿勢自体は、避難されるべきものではないだろう。

国単位の巨悪に対して、自分の信念と言葉で立ち向かうギャリソンに、感服せざるを得ないラストになっている。

 

好奇心、責任、正義

この映画のストーリーで描かれるのは、事件から3年経って、本格的に調査を始めるギャリソンの物語だ。

彼は事件の報告書を読み、多くの矛盾点を見つけ、捜査にのめり込んでいく。

ひとつのことに取り憑かれたキャラクターの常として、ギャリソンも家族を顧みることが疎かになってしまう。

そこでの、公と私の葛藤も、この映画の重要なポイントになっている。

もう終わった事件として、捜査を辞め、普通に暮らす選択肢は、ストーリーの中で何度か訪れる。

「私は子どもと普通に暮らしたい。私や子どもより事件の方が大事なの?」と嘆く妻の言葉は正当な主張で、全くその通りだ。

しかし、そこでギャリソンが、「こんな国(嘘がまかり通る国)で子どもに育ってほしくない」と言い返す。これも全くその通りだ。

公と私は、全く別物じゃない。家族の生活を守るためにも、社会が正直に回っていなければいけない。この信念がギャリソンの強さだ。

ギャリソンは「誰かがやればいい」と考えずに、自分の責任だと認識してこの事件の捜査を続けていく。そして、責任を引き受けて闘うことが正義だということを示す。

ケネディ暗殺の真実を追うミステリーを語りながら、同時に、なぜ真実を追うことが大事なのか、ギャリソンを通してアツいドラマとして描いている。

上映時間も長いし、政治の話かと思うと少し観るのが億劫かもしれない。

しかし、総じて言えば巨悪と闘う面白いストーリーになっているし、加えて、なぜ闘うべきなのかについて考えるきっかけにもなる。観る価値のある映画だと断言できる。

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