映画

ホーム・アローン -家族から開放された少年のホリデイ-

概要

クリスマス前、パリへの旅行準備に追われるマカリスター家。そんな中、ひとりで準備ができないケビンは忙しくする家族からのけ者にされ、夕食の席で兄とケンカし、家族全員から疎ましく思われてしまう。

その夜、ケビンはサンタに「家族を消してください」とお願いする。窓の外では不思議な風が吹き、木の枝が折れ、電線を切ってしまう。

停電によって目覚ましが鳴らず、家族で朝寝坊するマカリスター家。大急ぎで出発したせいで、ケビンを置いて飛行機に乗ってしまう。

お仕置きのため屋根裏部屋で寝ていたケビンは、家族が出発した後に目覚め、空っぽの家を見て、願い通り家族が消えたと喜ぶ。ひとりの時間を謳歌しつつ、さまざまな困難を克服し、ケビンは自分ひとりでどうにか生活。自立心を養うと同時に、家族への気持ちも募っていく。

そんなケビンが暮らす家を、二人組の泥棒が狙う。ケビンは怪しい2人に勘付き、あの手この手で家に人がいるように見せかけ泥棒の侵入を拒むが、最後には子ども1人だとバレてしまう。

泥棒たちは、ある夜に家に侵入する計画を立て、その計画を盗み聞きしたケビンは、家にたくさんの罠を用意して2人を待ち受ける。

みんなのレビューまとめ

高評価

  • 背伸びした少年の成長する姿がいい
  • 漫画的なドタバタ劇、いたずら、泥棒退治が面白い
  • 家族の暖かさ、特に母親の愛情が描かれている

低評価

  • 少年の機転の利き方や泥棒の馬鹿さなど、リアリティがない
  • 泥棒が受ける暴力がえげつない

ナニミルレビュー

オススメ度:A

こんな気分の時オススメ:クリスマス映画を観たい時。少年が奮闘する姿を観たい時。ドタバタコメディが観たい時。

誰もが夢に見たやりたい放題

クリスマス・ウィッシュの不思議な雰囲気と共に、ケビンが家にぽつんと1人になる。

監視の目がなくなった家で、子どもの欲望を爆発させるケビンの姿を見るワクワク感が、映画序盤の大きな楽しさだ。

ベッドの上でジャンプし、キッチンを汚しまくり、アイスを食べたいだけ食べ、禁止された映画を観る。兄のオモチャを勝手に使い、階段からソリで滑り降りる。

大人から見れば子供なんて毎日休んでいるように感じるが、、実は常に大人に見張られている子供に本当の休みはないのかもしれない。家族が消え去った家に残ったケビンは、人生で初めてのホリデイを満喫しているのである。

 

また面白いのが、マカリスター家はかなり豊かな家だということ。人々が憧れるアメリカの豊かな生活を象徴するような家族が描かれている。

そんな大きな家の中に小さな子供がひとり、という舞台設定もまた、ケビンのやりたい放題を楽しくしている。

映画序盤は、家の中であるにも関わらず、宝探しの楽しさに溢れていて、かつ、初めてひとりで買い物に行く流れは、近所であるにも関わらずアドベンチャー映画のような楽しさがある。

家の中で必要なものを探し、手に入れ、それを使って遊んだり、買い物をしたりする。ただ与えられるままではなく、ケビンが能動的に活動しているからこそ、この序盤のシーンを子供遊びを見るような退屈さなく見られる。

 

そして、このケビンのやりたい放題を見せながら、マカリスター家の家の構造を説明していき、これらがラストの大活劇の伏線になっているのも見逃せないところだ。

『ホームアローン』といえば、クライマックスの泥棒退治。

ケビンが家の中にある様々なアイテムを使って、家にやってきた泥棒をどんどん懲らしめていく。

旅行前日に父親はケビンに「ミニカーを片付けなさい」と叱り、母はケビンが接着剤で父の釣り針をダメにしたことを伝える。家族がいなくなってケビンは兄の空気銃で遊び、撃った人形は地下室へと落ちていく。暴力映画で怖いシーンを見て学び、スケート場で警官を滑って転ばせる。

ケビンの行動一つ一つが、ケビンのアドベンチャーと成長を描きながら、最後の戦いでのヒントとして回収されていく。

家族を思うケビンの成長

この映画のドラマ部分は、大まかに言えば、家族と別れ、孤独の中で成長し、家族と再会するストーリーである。

家族が消え、最初は喜んでいたケビンも、だんだんと家族が恋しくなってくる。

ケビンは自分の生活に必要なものを買いに行き、洗濯をし、怖かった地下室を克服し、食事をして、食器を洗っている。

ケビンが自活する姿がしっかりと描かれているからこそ、家族に対する恋しさが単なる子供の甘えではなく、ケビンの切実な思いだということが分かる。

 

ケビンの成長にもう1つ欠かせないのが、兄のバズから「殺人鬼だ」と噂されていたご近所のおじいさんの存在だ。

いろいろな「物事」を克服したケビンだが、この「人」だけば最後まで恐れている。

クリスマスイブの夜、教会でたまたまおじいさんに出会い、初めて会話をする。そして、ケビンはこのおじいさんが優しい人だと知る。

ケビンはここで、家族からはみ出した個人的な繋がりを作り、兄の話の嘘を知り、自分の経験として他人と関わる。そしてなんなら、彼と同じ問題を共有し、彼にアドバイスまでしてしまう。

この人間関係によってもケビンは大きく成長する。

 

同時に、遠いパリの地から、何が何でも帰ろうとする母の姿も胸に来る。キャンセル待ちのため空港に止まり、身につけているものを全て売ってでもチケットを譲ってもらおうと試み、空港のカウンターでキレる。

母もまた、車に乗せてくれたバンドの男性と会話し、子供に対する問題を共有しつつ、自分の間違いへの反省を深める。

この積み重ねがあるからこそ、ラストの再会のシーンが本当に感動的なものになっている。

さらに、家族全員が帰ってきて、みんながケビンの成長に驚く、というしてやったりな痛快さも良い後味になっている。

背伸びした子供の可愛さ

子供が大活躍するこの映画、ストーリーの面白さはもちろんありながら、ケビンの可愛さを見るのが楽しみで観るのも間違いではない。

もちろん、ケビンを演じるマコーレー・カルキンの良さという部分もあるが、同時に、ケインというキャラクターの上手い描かれ方もそれを助けているだろう。

ケビンは子供らしく背伸びした振る舞いをみせたりする。背伸びする子供は大人からみて可愛いものだが、同時に、実際ケビンは大人がやるような家事をちゃんとこなしていたりする。

この「子供が背伸びして大人のような言動を取る」という可愛さの中に、「実際大人のようなところがある」というギャップがケビンというキャラクターを一段と魅力的にしている。

ケビンは街にいるサンタに「あなたは偽物でしょ」と話す。これは大人びた意見に感じるが、その後すぐに「でも本物を知ってるでしょ。だからメッセージを伝えた欲しい」と可愛いお願いをしたりする。しかしそのお願いは「プレゼントは要らないから、家族を返して」という大人が共感できる願いごとだ。

そして、教会でおじいさんと話すときも、大人がハッとさせられるようなアドバイスを言ったかと思うと、プレゼントの話になると、自分の祖父母がくれるダサい服の文句を言って、子供らしい一面を見せる。

この「背伸びした子供」というキャラクターの中に、本当に大人が共感してしまうところと、やっぱり子供だな、と感じるところが良いバランスで繰り出されていることが、ケビンがここまで魅力的なキャラクターになっている要因だろう。

 

この映画はファンタジー映画ではないし、子供が信じるクリスマスを描いた作品でもない。だってサンタが駐禁を切られているような映画なのだから。

そういうリアリティのある世界観でありながら、ケビンが最初のお願いをした時、まるで魔法がかかったかのような演出で風が吹き木が折れる。そして、おじいさんはまるでお化けのように描かれている。

現実的な話ではありつつ、どこかファンタジーのような雰囲気が感じられるこのバランス。まさにホリデイの非日常感と、それが終わってまた安心の毎日に戻っていくようなラストシーン。

この映画全体の演出自体が、ちょっと大人びてきた子供のケビンが感じているクリスマスを観客にも味あわせてくれるような、そんな雰囲気を作っている。

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