映画

ダイ・ハード -高層ビルで強盗事件に巻き込まれた普通の警官が活躍する傑作アクション-

概要

ニューヨーク警察のジョン・マクレーンは、別居中の妻ホリーに会うため、彼女の務める会社のクリスマスパーティーに参加する。

ホリーとの再会も束の間、パーティーが開かれているナカトミビルが、ハンス率いる強盗団の襲撃を受ける。

ジョンは運良く襲撃の手を逃れ、ビルの中に隠れながらどうにか助けを呼ぼうとする。しかし、電話は通じず、警察無線に連絡してもイタズラだと勘違いされてしまう。そうこうしているうちに、ジョンの存在が敵にバレ、追っ手がジョンを襲ってくる。

そこから、用意周到な強盗団と、孤軍奮闘のジョン・マクレーンの戦いが始まる。高層ビルの中を駆け回りながら、ジョンは少しずつ敵を倒し、敵の武器を奪っては、知恵を使ってハンスの計画を撹乱していく。

しかし、ビルの異変を察知してようやく駆けつけた警察やFBIは、誰も彼も状況を甘く見て失態を繰り返す。

そして、ハンスは人質のホリーがジョンの妻だと気づき、彼女を人質に逃走を図ろうとする。

みんなのレビューまとめ

高評価

  • ストーリーが緻密で、最初から最後まで飽きずに楽しめ、何度見ても発見がある
  • ビル一棟を舞台に1人テロリストと闘う設定、工夫を凝らした闘い方が面白い
  • 主人公、悪役、バディ、どの登場人物もキャラが立っている

低評価

  • ピンチをすり抜け続ける主人公の幸運さがご都合主義に感じる
  • 主人公のタフさにリアリティがない

ナニミルレビュー

オススメ度:A

こんな気分の時オススメ:面白い王道アクション映画が観たい。孤軍奮闘する男が観たい。

満身創痍のジョン・マクレーン

やっぱり『ダイ・ハード』が素晴らしいのは、主人公のジョンがぼろっぼろになっていくがゆえだな、とこの映画を観る度に思う。

映画を見ていると「あれ、ジョンいつ着替えたんだろう」っていうくらい、白かったタンクトップが薄汚れていく。

クライマックスでは、血はダラダラ、汗でギトギト、足はひきずり、タンクトップはなくなり、夜道でこの人が歩いてきたら絶対走って逃げる、というぐらいボロボロになっている。最後にキスされるホリーも、感動的なシーンながら、ちょっとかわいそうに見えるレベル。

でも、このボロボロのギトギトになりながら闘うジョンの、超絶カッコいい姿がこの映画の醍醐味であることは間違いない。

皮肉交じりのセリフを吐きながら、妻を救うため、人質を救うため、警察を救うため、ビルの中を走り回るジョン。

敵は重武装し、身体も大きい強盗団。拳銃一丁、しかも裸足という圧倒的不利な状況から、敵を倒し、敵の情報を集め、無線を使って計画を撹乱しながら、事件解決のため闘う。

 

また、ジョンがヒーローとしてではなく、ひとりの警官として描かれているのもこの映画の魅力。

ジョンは、ヒーローのように自分で事件を解決しようとしない。とにかく外に連絡を取って、警察に解決を任せようとしている。

さらに、映画序盤では、敵に出会った時、急に撃ち殺すようなことはせずに、「銃をおろせ」とちゃんと警告する警官らしい動作を必ず入れている。

この四面楚歌の状況でも、簡単に敵を殺そうとせず、ちゃんと無力化して逮捕しようとしているところが、ジョンの普通の警官っぷりを印象づける。

そして、普通の警官だからこそ、後半、彼がボロボロになりながら、ひとりで奮闘して敵を倒し、最後にホリーを救出する姿が超絶カッコいいのである。

怒涛の伏線回収

『ダイ・ハード』という映画に対して、ドンパチと大爆発の筋肉系アクション映画だという印象を持っている人もいるかもしれない。それは間違ってはいない。

しかし、ことこの第一作目に関しては、それに加えて脚本の上手さにも定評があり、『ダイ・ハード』の伏線回収が凄いというのは、映画が好きな人の中ではわりと常識だ。

 

映画冒頭、マクレーンが高所恐怖症だというキャラクター説明から、彼が裸足になる原因が作られ、リムジンの運転手アーガイルとの会話と彼の行動、ホリーが自宅にかける電話、ホリーのラストネーム、ジョンとホリーとのちょっとしたケンカ、写真立て、会社から送られた腕時計。

序盤、単に夫妻の関係性を描くために用いられていると思ったこれらの道具が、ストーリーが進むに連れてサスペンスのアイテムとして物凄く上手く活用されていく。

例えば、ホリーがマクレーン姓ではなく旧姓を名乗っていることは、ビジネスマンとして生きるホリーと、それを応援しきれないジョンのケンカの原因になっているが、同時にハンスがホリーとジョンの関係に気づけない原因にもなっている。

ホリーが家にかける電話は、ジョンのために部屋を用意してくれとメイドにお願いするためのものだ。ここではジョンとホリーの距離感を説明しつつ、マクレーン家の子どもの存在、メイドが移民であることが示される。この事実が、ラスト近くでハンスがホリーを人質に取るきっかけになってしまう。

そして、会社からもらった腕時計は、ホリーの会社への帰属を象徴し、ホリーとジョンの間の壁として描かれている。この腕時計は映画のラストでどうなったか。

いろいろなアイテムが巧妙に使われ、マクレーン夫妻のドラマを描きつつ、強盗団と戦うサスペンスのキーアイテムになっていく。

 

また、全体的に情報の流れが、この映画のサスペンスを面白くしている。

強盗団は電話線を切り、外部との連絡を断つ。だからこそジョンは警察を呼ぶのに苦労している。

電話以外の伝達方法として、無線が使われるが、この無線は外部だけではなく強盗団にも会話が聞かれてしまう無線になっている。

そして、テレビ局がやってきて、事件がテレビで放送される。アーガイルはこのことで始めて、自分がいるビルの中でヤバイことが起こっていることに気づく。

この、電話、無線、テレビ、それぞれ欠点を持った情報伝達が、この映画のストーリーをここまで面白くしている。

どの情報が、いつ、誰に流れ、それによって、誰が、どう行動するか。ここのストーリーの巧みな流れも、本当によくできているなと驚く。

 

一見大味なドンパチ大爆発な戦いだが、実は緻密に頭を使った戦い方をしているジョンと、強盗を退治する大衆アクションだが、実は緻密にアイテムやキャラクターが仕込まれたストーリー。

ストーリーのテイストと、映画として描かれる映像が絶妙にマッチしていて、統一感のある本当に素晴らしい一本の映画になっている。

80年代後半のアレコレ

事件が起きるのはナカトミビルで、その社長のタカギは日本人である。ここには、バブル崩壊前の日本企業の勢いが映画の中に封入されている。

この映画でタカギ社長が良心的に描かれていることにも、何がしかの意味を感じずにはいられない。

また、公開時はまだソ連崩壊前なので、ハンスらは政治性の強いテロリストを装って、FBIに同志の釈放を要求したりしている。

そして、ヘリに乗ったFBIのひとりが「ベトナムを思い出すな」といい、相棒が「ぼくはまだ中学生だったよ」と答えたり、なんとなく時代性が感じられる描写も多い。

ちなみに、タカギが良心的に描かれているのに対して、このFBIの男はめっちゃ無能なのだ。

また、移民の問題にもちょこっと触れていたり、最初に現場にやってくる警官アルは、間違って少年を撃ってしまったことがトラウマになっていたり、今でも社会にある問題が、ストーリーの細部として描かれている。

今見ると、そういった時代的な細部もいろいろ目について、そういう面白さもあったりする。

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