映画

スタンド・バイ・ミー -少年たちの夏の冒険-

概要

田舎町でそれぞれ違った家庭環境に暮らすゴーディ、クリス、テディ、バーンの4人。ある日、バーンは兄たちの会話を盗み聞きし、行方不明の少年が30キロ先の森の奥で列車に跳ねられ死体のまま野ざらしになっていることを知る。バーンがゴーディたちに話すと、3人は発見者になって有名になろうと、死体探しの旅に4人で出かける。

さまざまな困難を経ながら小さな旅路を進む4人は森の中でキャンプし一泊する。夜中に起きたクリスとゴーディ。父からの愛情を十分に感じられないゴーディと、不良者扱いに疎外感を感じるクリスは、お互いに励ましあう。

翌朝も4人で死体を求めて歩を進める。一方、町ではバーンの兄らが仲間に死体のことを話し、年上の不良たちが同じ死体を見つけに町を出て車を走らせる。

みんなのレビュー

高評価

  • 素直な少年たちの友情がいい
  • それぞれの家庭問題を抱えながら生きる少年たちの姿が印象的
  • 小さなことに夢中になる子供らしい冒険に懐かしさを感じる

低評価

  • 下品なシーンや言葉遣い、不良描写が不快
  • 目的や強い動機があるわけでもなく、ストーリーにひねりもないので退屈
  • あまり感情移入できない

ナニミルレビュー

オススメ度:B

良い点!

「こんな思い出がある人生っていいなぁ」と思わされる、とてもノスタルジックで心地いい少年たちの時間が描かれている。

終盤で「たった二日の旅だったが、町が小さく、違って見えた」というナレーションが入るが、その言葉に説得力がある冒険が描かれている。

子供が2日歩いて動ける程度なのだから、冷静に考えて大した距離じゃない。

しかし子供の視点での旅の大きさを感じられるように描かれており、その充実感たるや、疑いようがない。

そして、無鉄砲で、最低限の持ち物だけを持って旅に出る大雑把さも楽しいし、時々訪れる、旅ならではの感傷的な雰囲気も感じられる。

また、「古き良きアメリカ」(良いのかは分からないが)を感じられる雰囲気もいい。

イマイチな点・・・

登場人物のキャラクターが定型的、一面的で、ドラマ部分が薄っぺらく感じる。

良く言えば素直な少年たちによる爽やかな友情なのだが、素直すぎてリアリティを感じず、子供の純情さに対する大人の過剰な期待が、キャラクターを通して透けて見える感じがする。

特に、悪ガキキャラのクリスは、「一見悪そうに見えても根は良い子」という多くの大人が求める悪ガキ像を安易に体現している。

願望をキャラクターに投影すること自体はかまわないのだが、キャラクターにリアリティがなければやはり妄想にしか見えない。

ストーリー中のクリスが終始良い子ちゃん過ぎて、まったく悪ガキに見えない。結果的に、クリスの内面の屈折にリアリティがなく、「悪ガキだが本当は良い子」というギャップ=願望をむりやり背負わされた嘘くさいキャラクターに見えてしまう。

というか、どうみてもクリス悪ガキじゃないでしょ。セリフによって、情報としては「悪ガキなのだ」と伝えてくるのだが、ストーリー上では悪ガキ的な行動はしないのだから、そこにリアリティを感じなくても当然だ。

特に、ゴーディを元気づけるクリスの言動はあまりにも出来すぎていて、もはやその辺の大人より大人力が高い。無茶をするテディもいさめるし、ゴーディの話を邪魔するバーンも冷静にたしなめる。

こいつのどこが悪ガキなんだよ。と普通に見ていたら思ってしまうだろう。だから、偏見に苦しんでいるというリアリティが全然なく、「ドラマを盛り上げるためにそういう設定にしておいた」という風にしか見えない。

この薄っぺらさは回想で出てくるゴーディの兄にも言える。

とにかく分かりやすく「完璧な兄」を演出するあまり、本当に嘘くさいキャラクターにしか見えない。

また、ゴーディの苦悩をもたらす両親の無関心もそうで、もう全くゴーディに対しての感情がなさすぎて、こんな親(というか人間)いるのだろうか、という違和感を感じる。

個々のキャラクターとしては、それほど問題ではないのかもしれないが、問題は、すべてのキャラクターが分かりやすく区分けされすぎていることだ。

素直なキャラクターは終始素直。悪役はとにかく悪役。情に厚い少年は常に誰に対しても情に厚い。臆病なやつはずっと臆病。ヤンキーはヤンキー。

ドラマを描いているようで、どのキャラクターも深い内面がなく、意外性がなく、リアリティがない。ストーリーの都合上そう描かれているだけっていう感じがある。

この少年はこういう葛藤を抱えている。なぜならこういう親がいるから。親がこうなのはこういう兄がいたから。

この少年は偏見に悩んでいる。なぜならこういう家族のもとに生まれたから。こういう経験があったから。それを打ち明けて泣く。はい感動のシーン。

というように、あまりにも単純に人間の内面を描いているように見えた。

まとめ

ノスタルジックな雰囲気で、少年時代の思い出を本当に心地よく描いた良作。だが、そんなに深くしみじみと感動しながら観る映画には感じなかった。

「不朽の名作」というよりは、もっとライトな映画だと個人的には感じる。時間的にも90分弱だし。

それぞれの少年の問題は、あくまでセリフで「説明」されるだけであり、ストーリー上で語られはしない。だからドラマとしての厚みはない。ストーリー上で語られるのは、ノスタルジックな冒険であって、そこに関しては素晴らしい。

まったくつまらない映画ではなく、むしろかなり良いのだが、個人的に世間一般の評価よりは、少し下がる。なつかしさにつられて全体を美化しすぎているような気がする。

問題を抱えた少年たちの感動ドラマを期待して観るというより、ノスタルジックで牧歌的なライトな冒険活劇として観るべき映画だと思う。

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