概要
言わずとしれた、タイムトラベル物の名作。
高校生のマーティは、発明家の友人ドクが開発したタイムマシンに乗って、1985年から1955年へとタイムトラベルする。その過去で2つの問題が発生する。
1つは、帰りの燃料がなく、元の時代に帰れないこと。もう1つは、うっかり両親の出会いを邪魔してしまい、自分が誕生する未来を変えてしまったこと。
マーティは過去のドクの家を探して助けを求め、元の時代に戻るアイデアをひねり出す。タイムトラベル決行の日まで、マーティは両親を恋仲に戻すために奔走する。
マーティは引っ込み思案の父に恋愛の手ほどきをし、どうにか母をダンスパーティーに誘うよう試行錯誤する。
レビューの印象
高評価
- タイムトラベルものとして完成度が高く、ストーリーも緻密で、結末も爽やか
- 自分と同年代の頃の親と交流するというモチーフが面白い
- キャラクター設定が分かりやすく、サスペンス、コメディ共に王道の面白さがある
低評価
- 登場人物の行動が軽率で乗り切れない
- タイムトラベル関連の設定に無理を感じる
- 展開に意外性がない
ナニミルレビュー
オススメ度:B
こんな気分の時オススメ:王道のストーリーを観たい時。古き良きアメリカの雰囲気に浸りたい時。
タイムトラベルパラドックス
この映画が素晴らしいのは、ストーリー内の各要素が、それぞれの展開にしっかり絡んでくる点だ。
映画冒頭でいろいろな情報がちりばめられる。両親の馴れ初め、母の小言、今の父の人間関係、市長選、古い時計台の保護活動、ドクに起きるある事件。
これらの情報が、過去に飛んだマーティが問題を解決するヒントとなって、謎解きのようにストーリーが進行していく。
時にはそれは、問題を説く鍵となり、時にはアイデアの元となり、時にはコミカルなギャグとして、それぞれの場面で楽しく展開する。
同世代として両親と接するドラマ
タイムトラベル物は数あれど、両親と同じ年頃になり、2人の仲を取り持つことが鍵になるストーリーは、この映画の大きな特徴だ。
ここには、母が自分に惚れてしまい、そこから母の知られざる一面が明るみになるというコメディもあり、男同士として父と接するドラマもある。
特に、恋愛の師匠として父に女性の誘い方を教える様は、客観的に見るととてもヘンテコだ。
そしてマーティは、実は父がSF小説を書いていたことを知る。父は絶対に小説を人に見せない。「人に見られて才能がないって知るのがいやなんだ」と父はマーティに語る。それはマーティが自分の音楽に対して感じている恐怖感と同じものだった。
全く違うように見える父から、同じ葛藤を聞き、共感する。
マーティがいくら恋愛のテクニックを教えたところで、最後の最後まで父は母を誘うことができない。
しかし、最後のチャンスで、父は自分の勇気でイジメっ子のビフに立ち向かい、彼女とダンスパーティーに参加する。
その父の勇気が、未来の家族の形も変えてしまう。
たった一度勇気を出すことが、未来では大きな変化につながっていく、というストーリーがこの映画では描かれている。
良い意味で、かなりエンターテインメントに振った作品なので、戯画的に感じる部分が多いけれど、上手く締まったストーリーで、とても楽しく見ることができる。