映画

グレムリン -クリスマスをぶっ壊せ!-

概要

ある日、発明家のランダルがチャイナタウンの骨董品店からモグワイと呼ばれる不思議な生き物を買い取ってくる。

大きな耳と目、若干ぶちゃいくな鼻と口、ずんぐりむっくりした可愛らしくフォルム、ふわふわした毛に包まれた、愛くるしいキャラクター。

ランダルは息子ビリーモグワイをプレゼントし、ビリーは、「ギズモ」と名付け可愛がる。

しかし、モグワイには飼うにあたってのルールがあり、ビリーはそれを破ってしまう。そこから町全体を巻き込む大騒動が始まる。

みんなのレビューまとめ

高評価

  • とにかくギズモが可愛い
  • ストーリーは童話的で、良い意味でシンプル。分かりやすい
  • 可愛いコメディホラーながら、スプラッター映画のパロディや、皮肉っぽいブラックユーモアもあり振り幅が広い

低評価

  • 想像したよりグロテスク
  • 設定やキャラクターにリアリティがなく、バカバカしく感じる
  • コメディとシリアスが入り混じり、どういう気分で観ていいのか分からない

ナニミルレビュー

童話のようなクリスマスの雰囲気

クリスマスを迎えるどこか童話のようなアメリカの街。

性悪な金持ち婆さんが出てきたり、やたらと外国製品の悪口を言うオジサン、ランダルのダメな発明品を優しくフォローするビリーの母リン。出世街道を行くビリーの友人と、社会活動に熱心なビリーの同僚ケイト。

楽しい絵本を読んでいるかのようなワクワク感がある一方で、「クリスマスは1年で一番ハッピーな時期だ」と話すビリーに、ケイトは「クリスマスが好きな人ばかりじゃない」という話をする。

「クリスマスが憂鬱な人もいる。祭日の頃は自殺率が一番高いのよ」と楽しい雰囲気にそぐわないリアルな話をするケイト。

この、楽しい中にも微妙に不穏な話が含まれている感じが、この映画の雰囲気を象徴している。

全体的に、楽しい映画である。ストーリー上で起こることから考えると、かなりさっぱりしたエンディングで、明るい映画だと言える。その上で、個々に起きていることは結構残酷だったりグロテスクだったりするのが、この映画の面白いところ。

キュートでグロテスクなグレムリンズ

モグワイについては、飼うにあたっていくつかルールがあるのだが、ビリーは間違ってそれを破ってしまう。

そのせいでギズモの体の一部が分離し、そこから新しいモグワイがぽこぽこと誕生してしまう。

やがて、その新しく誕生したモグワイたちが成長し、さなぎ期間を経てモンスターと化してしまうことで、町はパニック状態に陥る。

このモンスターと化す過程は、序盤のもふもふで可愛い雰囲気から一転、エイリアンそのものである。

内臓のようなフォルムの繭。ネチョネチョした感触。パカっと開くとヌルヌルの液が溢れ出し、爬虫類のように変化したクリーチャーとなって繭から這い出してくる。

そして面白いのが、この最初のグレムリンたちの中の過半数がビリーの母リンによって殺されてしまうのだが、その殺され方の悪ふざけ感がとても笑える。

ミキサーに吸い込まれたり、電子レンジで爆発したり、包丁でめった刺しにされたり。グレムリンを倒しているリンの方が狂った殺人鬼のように描かれていて、ホラーでありながらギャグっぽい演出になっている。

 

可愛いらしいギズモは言わずもがなだが、モンスター化したグレムリンたちの行為も、最初こそ気色悪いが、だんだんとコミカルで楽しい描写になっていく。

それが、この映画が人が襲われるホラーでありながら、さっぱりした雰囲気である理由だろう。

そしてこのコミカルな動きが、CGでなく、特撮で撮られているのも、今見ると逆に新鮮で、CGとはまた違うリアリティが味わえる。

実際、質感にせよ動きにせよリアルで、本当にこういう動物が生きているみたいに見えるクオリティになっている。「ギズモ飼いたい」と思っても仕方ないくらい違和感なく見られる。

アンチ・クリスマス

この映画は、クリスマス映画でありながら、アンチ・クリスマスのストーリーである。

序盤で「クリスマスが憂鬱な人もいる」というケイトの話が始まる展開は、その時点ではやや違和感のある展開なのだが、グレムリンたちの悪行を見ていくほどに、「なるほど、それがテーマなのか」と腑に落ちていく。

つまり、グレムリンたちによって表現されているのは、クリスマスをぶっ壊したいという気持ちと、クリスマスにギャーギャー騒いでいる人たちに対する揶揄なのだ。

 

モンスター化して暴れまわるグレムリンたちは、まず、クリスマスのモチーフを破壊していく。

リンが作っているクリスマスのホームメイドクッキーを台無しにし、クリスマスツリーがリンを襲う描写もある。

そして、家でゆっくりテレビを見ている、オジサンの平和なリビングを破壊する。金持ち婆さんを窓から放り投げ、クリスマスの飾り付けにぶら下がり、とにかくジョイフルなクリスマスの町を破壊していく。

さらに、ここからが面白いのだが、今度は一転、グレムリンたちは酒場でたむろし、行儀悪く大騒ぎしている。

ここからは、クリスマスの破壊者だったグレムリンが、逆にクリスマスに仲間と集まって大騒ぎをしている、集団の醜悪さの表現として使われている。

 

憂鬱なクリスマスをぶっ壊す立場でもありつつ、集団で騒いでクリスマスを謳歌する立場でもあるグレムリン。

グレムリンは、マイノリティであったりマジョリティであったりするわけだけど、とにかく一貫見え隠れするのは、「クリスマスなんかクソくらえ」という気持ち。

 

キュートさとグロテスクさ。楽しい雰囲気とホラーな内容。クリスマスの浮かれた楽しさとクリスマス嫌いなマイノリティの視線。

対比的な要素が入り混じりながら、ストレートに観ることもできれば、俯瞰して面白がることもできる。その上で全体としては楽しく見られる、良いクリスマス映画。

レコメンド作品

アダムスファミリー2

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